建売新築一戸建ての場合は、心理的瑕疵など契約時などの告知事項というものがある物件というのは少ないですが、それでも無くはないです。

ときどきありますよね。資料とかに書いてあって・・・珍しいなって。

新築ではあまりそんな曰く付きの土地に建物建てて商品化しようとしないからね
今回はそんな不動産業界の火事の告知義務や告知期間、不動産業者の調査義務について紹介していきたいと思います。
不動産売買における火事の告知義務・期間
不動産売買をしていると多少なりとも、火事や事件など心理的瑕疵と呼ばれる問題を抱えている物件を扱うこともあります。
不動産屋ってちゃんと告知するの?
そんな時一般の方が心配されることとして
- 秘密にして売るんじゃないの?
- 一回持ち主が変われば言わなくていいんでしょ?
というようなお話をよく聞きます。でも実際はそんなこともなく、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定し、心理的瑕疵に関する告知をルール化しています。

隠すリスクは非常に高いので告知に熱心な不動産業者の方が多いことをご理解ください。
そして、実際の不動産業界としてはそのガイドラインよりも、より厳しい基準で細かい事まで告知していくのが一般的になっています。
新築一戸建ての場合はさらに告知が細かい
さらに言うと新築一戸建て業界は中古住宅業界などと比べても、さらに細かく告知することで知られています。
なぜなら新築一戸建ては所謂「夢のマイホーム」的な理想を実現するために家を探すという側面が強く、比較的小さなネガティブな要素でも大きなトラブルになる可能性を秘めています。
そういった部分から建売新築ハウスメーカーはかなり注意を払って火事や事件の告知を行っていきます。
実際見たことのある建売新築の告知事項
その土地で人が亡くなった履歴があるなどという土地では、そもそも建売ハウスメーカーはその土地を買って建売を建てて売ろうと思わないので、よっぽど希少なエリアでない限りは商品化されません。
それでも時には人の死に関する告知のある建売新築はあります。最近見たので言うと、
というものがあります。この辺りはルール的には告知の必要すらなさそうですが、トラブルになる可能性もあるので建売新築のハウスメーカーは告知して販売していました。
建売新築である告知事項のほとんどは、人が亡くなっていない「火事」の履歴です。たとえば、
などというようなものが多くなります。法律上などの告知義務に違反するので告知するということではなく、隣人から聞いてトラブルになる可能性のあるものは伝えておくということで告知しているケースが多いと思います。
これは告知義務違反ですか?【コメント回答】

この案件で言うと、おそらくですが、「告知義務違反とかにはなりにくい」と思います。
この文章だけではこの火事の規模などはわかりませんが、過去の判例などを見る限りは不動産屋の告知義務や調査義務違反には当たらない可能性が高いと思います。
告知期間は事件の重大性など総合勘案
このコメントの方のお話で言うと、40年前の火事ということですが、ここで疑問になってくるのは「何年前の火事」「何年前の殺人事件」なら告知義務があるの?ということです。

告知しないとダメな期間を法律で決めておけばわかりやすいよね。
という風に思われる方も多いかもしれません。しかし実際は期間などはっきりしたことは決まっていません。
それはなぜかというと、火事や事件などにも重大性の程度があり、期間を決めてしまうと色んな弊害が出るからです。
例えば「火事は告知期間〇〇年!」と法律で決めたとすると、ボヤ的な火事も、京アニ事件などのような死傷者を多数出し社会的にも大きく報道された火事も同じ年数なの?という問題が出てくるわけです。
ですので、法律などで〇〇年という風に決めることはできづらく、裁判などでも出来事の重大性などを総合勘案して告知すべき期間を考えていくしかないのです。

ざっくりイメージしてもらうために二つ程過去の判例を紹介していきます。
平成28年7月29日神戸地裁判決
心理的瑕疵が告知義務違反に当たると言われた事例から先に紹介すると、火事の事案ではありませんが、平成28年7月29日神戸地裁判決では、
- 7年前に強盗殺人事件があった土地
- 買主は「事件とかなかった?」って確認もしてた。
「過去存在した建物で起きた殺人事件につき、約8年以上前に発生したものとはいえ、周辺住民に事件の記憶が少なからず残っていると推測される売買不動産には、居住に適さないと感じることに合理性があると認められる程度の嫌悪すべき心理的欠陥の存在が認められる」
平成28年7月29日神戸地裁判決
として売主側の告知義務違反があったと認定してます。
殺人事件であり、新聞にも報道されていた記録もあり重大性はそれなりに高い事件に関しては7年経っても告知義務はあるということです。
平成26年8月7日東京地裁判決
次に告知義務違反には当たらないと考えられた事例で、こちらは火事の事例ですが、平成26年8月7日東京地裁判決があります。
- 土地の売買から17年前の火災事故
- 1名が死亡
という事案に対して
火災による死亡事故が土地の売買契約時点では相当程度風化・希釈化されており、一般人が忌避感を抱くと考え得る程度のものではなかった
平成26年8月7日東京地裁判決
として心理的瑕疵はなく、告知義務違反でもないと判断しています。
相当程度風化しているかどうかは中々判断が難しいところですが、いろいろな事例を見比べて参考にして判断していくほかないものということです。
不動産屋が事件・事故を知っているのか

ここまでは火事などの事件・事故の重大性と告知期間の話でしたが、やはり不動産業者がその事実を知っているかどうかも重要な要素になります。
告知期間も大事だが知っているかどうかは大事?
基本的には不動産業者や売り主がその事実を知っているのに伝えないということがよくないわけで、逆に言うと売り主側の人間が誰も知らないという状態なら仕方ない事と言えます。
しかし、トラブルになった場合、知っていたか知らなかったかという話になると、知らなかったと言う場合も多いため、事件の重大性と期間などで判断するわけです。
そういった意味では知らなかったとしても、「これくらいは知っておくべきだった」という調査義務があった場合はやはり不動産業者や売り主側の責任が追及される場合があります。
実際不動産屋はどれくらい知っているのか
さらに言うと、不動産屋がどれくらい販売物件の周辺で起きた事件・事故について知っているかというと、あまり知らないことも多いです。
近所の不動産が売りに出されたことがある方は考えてみていただきたいのですが、その物件について「何かあそこで事件や事故があったか知っていますか?」と聞き込み調査に不動産営業マンが来たことがある人は少ないと思います。
そうなるので基本的には不動産業者は売主からの聞き取りに頼るしかないのが実情です。基本的にはここで隠す人は少ないのでそれで問題が起きない件が多いですが、売主に隠されてしまうと不動産業者も知らないことがあり得ます。
建売新築一戸建て購入時に火事の履歴を告知される【告知期間は?調査義務は?】:まとめ
- 心理的瑕疵の告知は一般の方が思ってる以上にちゃんと行われている
- 新築一戸建ての場合は特に義務がないものも告知する
- 火事などの告知期間は事の重大性による
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