建売新築一戸建てには、建物自体を建てるハウスメーカーとそれを販売する地域の不動産仲介業者があります。昨今この建売仲介業者の撤退や廃業が増えてきています。
ライバル企業が少なくなるのは嬉しいことではありますが。
やっぱりどこか寂しい気持ちもある。
今回はそんな建売仲介業者の経営が苦しくなってきたお話について紹介していきたいと思います。
建売仲介業者の破綻が増えてきた?
この記事を書こうということのきっかけとしては、近畿一円で建売販売されている規模だった不動産仲介業者さんが突如として廃業したというお話を耳にしたことがあります。
最近でも古くから、それこそ私が不動産業界に入らせていただいた頃から建売販売や建売業者に土地を紹介していた不動産仲介業者の廃業のニュースを聞きました。
このような感じで建売新築一戸建てを販売している不動産仲介業者が破綻するというお話が増えてきました。
広告費と人件費と・・・会社はあまり儲からない
不動産業というとみなさん儲かることをイメージするかもしれません。それは商品の価格が高いため1件の取引で大きな利益をもたらすことができるという側面もありますし、仲介手数料という高額サービスを売っているため、「原価がかからないですね。じゃあ儲かりますね」というような考え方の方も多くなるという側面があります。
確かに仲介手数料は高額になりますが、出て行くお金も意外と多いですので、そこまで儲からないという部分もあります。
昨今の不動産業者経営で最も大変な出費になっているのが、スーモやホームズ・アットホームといったネット広告の掲載料・いわゆる宣伝広告費です。
破綻した仲介業者のお話も「○ーモにお金払いすぎて破綻したんや」と冗談を言う業界人もいました。
また不動産業を成立させるためにはたくさんの営業マンや事務員さんも必要になりますので、そこでの出費もありますので、売る実際のモノがあるわけじゃないのですが、たくさんの費用もかかっているため少し間違えると破綻したりするケースも出てきます。
建売新築の件数が微減している?
建売新築一戸建ての仲介業者があまり上手くいかなくなっているのには、建売新築一戸建ての販売件数が微妙に少なくなっているという部分もあります。
2023年の初め頃の発表で、大手建売ハウスメーカーの在庫数が前年比を上回って増えてきているということもあり、建売ハウスメーカー各社は少し土地の仕入れを控え、在庫の消化に方針転換をしました。そして全体的な方針としても販売件数を追いすぎることなく、1件の利益率を上げる動きもあります。
そうなってくると困るのは我々不動産仲介業者でして、建売ハウスメーカーさんの1件の利益率が向上したところで我々仲介業者にとっては1件は1件分の仲介手数料しか儲けることはできません。こういった流れもあって不動産仲介業者の業績が悪くなってきているのかもしれません。
仲介手数料無料案件の増加で手数料の総量が減少した
また別の視点でも建売仲介の不動産業者を苦しめる要因がありまして、それが仲介手数料無料業者問題です。
建売新築一戸建ては両手仲介というものが基本的に多く、それを利用して購入検討者の方の仲介手数料を無料にするという不動産仲介業者がいます。これは昔からいるのですが、最近スーモの規約変更によって「仲介手数料無料」という記載が禁止されていたのが解禁されたことをきっかけに、仲介手数料無料取引というのが増えました。
仲介手数料無料が増えると、不動産仲介業者全体として得られたはずの収益というものも減ります。ただでさえ取り合いのパイがさらに小さくなったというのも建売不動産仲介業者が苦しくなった要因の一つといえます。
仲介業者相次ぐ撤退について思うこと
このようなライバルでもあり戦友でもあると言える不動産仲介業者の撤退については色々思うところがあります。
建売仲介は無理しなければ撤退するだけ
建売新築一戸建て仲介に関していうと無理せずやっていれば、「破産」「破綻」というようなことにはならないビジネスで、上手くいかなければ「撤退」すればいいだけの部分があります。
破産や破綻などに行くケースで考えると先ほど解説したような、広告費や人件費を借り入れで捻出してしまうという場合が考えられます。このようなやり方は本来はやるべきではありません。
そのほかの不動産業というと土地や建物を買取それを開発・改良などして売却してその差額を儲けるスタイルがありますが、これに関しては借り入れで資金を捻出する場合が多いです。そのため失敗すると破綻・破産というところもあり得ます。
ですが建売仲介に関していうと無理な規模の拡大をしなければ広告費や人件費などランニングでかかる費用を借入することなく事業を進めることも可能といえば可能な業態になります。こういった上手くいかなければ撤退というレベルで挑戦できる仕事にも関わらず、借入を起こして大きな規模でやりたいという経営者が多いため、仲介業者の経営破綻というのも出てくるわけです。
スーモに載せたら簡単に売れると思いすぎ
もう一つは建売仲介業界の参入障壁の低さと商材の簡単さというものもあります。
実際問題建売新築一戸建て販売の業界に参入するとなると、自社の旗を10本くらい用意して現場を預かれれば預かって、リクルートに連絡してスーモを数枠購入するだけで参入できます。
商材としても簡単で建売新築一戸建てには中古一戸建てのようなややこしい法律問題は存在しないのが普通で、土木事務所と折衝したりしないと売却することもできないような難しい案件はありません。そういった意味では少し経験を積めば建売新築という商品の説明の通り一遍くらいはすることができるようになってしまいます。
そういった部分もあるので、あまり建売新築一戸建てを販売したことはないけれど、知り合いが新築を探しているなどの何かの拍子に建売新築一戸建てを仲介した不動産業者が「これから建売新築を売ろう」なんてことで参入してきたりすることがあります。
正直「簡単に建売新築が売れると思いすぎ」。
というのが感想で、ほとんどの参入企業が1件も売れることなく、もしくは赤字の状態のままで半年以内に撤退することになります。
他社との競合に勝てる集客・営業力が求められる
建売新築一戸建て販売の業界で難しいのは、「競合」です。
まずこれはイメージしやすいかもしれませんが競合に勝って集客する力が求められます。複数の企業がスーモやホームズの広告掲載していますので、どれだけ低い単価で一本のお問い合わせを手にすることができるかの工夫の質と量で勝負が決まってきます。
そして覚悟なく新規参入していきた不動産業者がわかっていない部分が、競合を勝ち抜く営業力という部分もあります。問い合わせてくれたお客様は99%他社にも問い合わせています。一般的な不動産仲介営業を一通りおさめた不動産営業マンにとっても特殊なくらい建売営業というのは難しい商材になっています。
こういったところがあるので建売新築一戸建て仲介というのは撤退して行く企業の多い業界でもあったりします。
まとめ:建売仲介不動産業者が次々撤退している話
- 建売仲介の不動産業者がよく廃業・撤退しているお話
- 仲介手数料無料取引の増加や販売件数の減少が原因?
- 建売販売は参入が簡単で、競合戦に負けて撤退
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