建売新築一戸建てで大変なことの一つが契約から引き渡しまでの期間の短さというものがあります。
しないといけないことの割に期間が短くてスケジュールが詰まりがちです。
今回はそんな建売新築一戸建て購入で日程が詰まってしまう原因の一つである、【1ヶ月ルール】について紹介していきます。
建売新築購入が忙しい原因【1ヶ月ルール】契約から引渡しまで期間が短い理由
購入する建売新築一戸建てが決まって契約もしました。これで一安心という風に感じる方も多いみたいですが、本当に大変なのはここからということも言えます。
完成した建売新築一戸建てを購入した場合には、契約後1ヶ月以内には引き渡しをしていく流れになるからです。
建売住宅の【1ヶ月ルール】とは?
建売新築一戸建てはハウスメーカーにもよりますが、「1ヶ月ルール」というようなものがある場合が多いです。具体的には契約後引き渡しまでを1ヶ月以内に収めないといけないという決まりです。
契約書に引き渡し期日というものが書かれているのですが、その期日が契約の日の1ヶ月以内に設定されるというような方法で決められます。
口約束ではなく、契約書に期日として書かれています。
契約書に書いてあることからもわかるように、結構絶対的な期限になります。「ちょっと無理そうなんで、伸ばしてくれます?」的なテンションで伸びるものではなく、日が過ぎてしまうと契約違反になってしまいます。
住宅ローンの手続きで時間足りなくて困る
そうはいっても購入する建売新築一戸建ては決まっているし、その他にやることある?って思う方もいるかもしれません。まだ引き渡しもされていないので引越し作業をする必要もありませんので。
ですが意外と忙しくて住宅ローンでお金を借りる手続きがたくさんあるのが実情です。事前審査が通った段階であれば
- 本審査が通るまでに1週間
- 金銭消費貸借契約を締結しに銀行に行って
- その○営業日後に決済できるようになるから
というような感じでほぼほぼ1ヶ月丸ごと使う場合がほとんどです。こんな作業に「金消契約の時までに既存の借入を返済してください」なんていう融資条件がついていたりすると、その返済作業や返済の証明のための書類の発行などなど時間の必要な作業が増えてしまいます。
こんな感じで1ヶ月ルールの中で引き渡しまで辿り着くのは意外と忙しいです。
どうしても無理な時は延長同意書
そんな1ヶ月ルールですが、どうしても無理な場合もあるにはあります。
基本的には契約書を作る段階で完全に無理ではない日程を作っているのですが、途中でアクシンデントがあって日程が1週間伸びてしまうなどなどごく稀に出てきます。
そんな時は「期間の延長同意書」というような売買契約の内容はそのままに引き渡しの期間だけ伸ばす書類を作ることになります。かといって
どうせ延長できるんでしょ?みたいなテンションはやめてください。
売買契約を締結したときには「その日に引き渡しを受けます」という約束をしたのと同じ意味になります。歯医者や美容室の予約をリスケするテンションでリスケはしないでください。
なぜ1ヶ月ルールがあるのか
それではなんでこの建売新築一戸建ての取引で「1ヶ月ルール」というものがあるのでしょうか。これは
- 低価格を実現するために資金の回転を早くしている
- 契約が解約された時のリスクの最小化
というのがあります。
資金の回転を早くして低価格を実現
1ヶ月ルールを作ってできるだけ早く引き渡しを終えようとするメインの理由は、建売の特徴でもあるリーズナブルな価格帯を実現するために資金の回転を早くしたいからです。
建売ハウスメーカーは会社のお金を使って、土地を買い・建物を建ててそれを販売して利益を上げるわけですが、資金にも限りがあります。そうなると重要なのは資金の回転を早くするということですが、1件の建売を作ることができる資金があっても、そのお金で1年間で3回建売を販売するのと、4回建売を販売するのとでは利益が違います。
こういった努力で薄利多売を繰り返すことにより、低価格帯の新築一戸建て販売を実現する建売ハウスメーカーにとっては数日、数週間の引き渡し日程の短縮も大きな利益の差になるわけです。
お客さんにとっては「そんな変わる?」って思いますけどね。
そういった事情があって、短縮できるところはできるだけ日程を短縮したいという気持ちがありますので1ヶ月ルールというものがあるわけです。
解約時の機会損失リスクを最低限に抑える目的
1ヶ月ルールがあるもう一つの理由は、その契約が解約になっ時の機会損失の期間を最小限に抑える目的があります。
売買契約を締結したとしても、何らかの理由でそれが解除になる場合もあります。
解約があってもまた販売すればいいわけですが、先ほどの資金回転は少し遅くなってしまいますし、何よりも機会損失になります。
建売新築一戸建てというのは「新築」として販売できる期間は完成後1年という広告のルールがあります。ですので初めから販売する日程に期限がある不動産商品といえます。
そんな中である人が買うといって売買契約をしたいといったとしても、引き渡しまで何ヶ月も待ってしまうと、その後解約されたときに「新築としての販売」ができる期間がかなり減った状態になる可能性があります。
そういったリスクもありますので、1か月以内に引き渡しを受けてもらえる人にしか販売しない。逆にいうとそういった引き渡しまで時間がかかる人は買いたいといっても買えない、買える状態になってから来てくださいというルールになっているわけです。
1ヶ月ルールのあるある話
最後に不動産仲介業者としての1ヶ月ルールあるあるを紹介していきます。
価格交渉などをするともっと期間短縮される
建売新築一戸建ての購入というと価格など条件交渉をする方もいます。
こういった交渉をすると、交渉の条件を了解する代わりに日程をこの日程でお願いします、というような感じ建売ハウスメーカーさんが言ってくる場合があります。
価格交渉がそんな日程条件でOK貰えるというのは買主さんにとってはありがたいところでもあります。
そうなると元々【1ヶ月ルール】でタイトな日程だったものがより厳しくなります。12日とか月の中日に契約をする話でも「月内引き渡しでお願いします」というような話も普通にありますので、この日程で動くしか無理。1日でもズレたら31日に決済できないというようなスケジュールの場合も時々あります。
期間が延長されると本当に嫌な雰囲気になる
先ほど期間がどうしても無理な場合は「期間延長同意書」で期間を延ばすと言いましたが、これをすると物凄い雰囲気になります。
建売ハウスメーカーの方々はそれぞれ直属の上司に「なんでそうなったん?」的な詰めを受けますので嫌な雰囲気になりますし、その先の建売ハウスメーカーの社員と我々仲介業者の空気感も「何してくれてるんですか」的な雰囲気になります。
これがまた絶妙にお客様が事故に遭われてとかそういった本当のアクシデントとかなら大丈夫なのですが、よくある「買主が書類を集め忘れてて」とか「銀行の保証会社が混んでて伸びた」とかそんな感じの話であれば、大体が我々仲介業者の責任になります。
実際そうやし。それを上手いこと回すのが我々の仕事ですので。
とりあえず、「これ誰に謝らなアカン?」「店長さんに謝りに行きましょうか?」的な、仲介業者と建売ハウスメーカーの担当者間ではこんな雰囲気になります。
ルール自体の期間が短縮されたりする
こんな建売住宅販売の「1ヶ月ルール」ですが、このルール自体が1ヶ月から減ったりします。25日ルールとか…。
ルール変わったんですよね…ちゃうわ。こっちはその5日短縮めっちゃ大変やわ
これは建売ハウスメーカー周辺でよくある話で、我々仲介業者だけではなく、工事業者の納期とかでもよく聞きます。1日減らされて凄い大変なことなってて…とかよく聞きます。
10年前の短期間取引を今でも褒めてくれる
厳しい事言われるばかり言っていると建売ハウスメーカーさんに悪いので良いことも言っておくと、今でも凄い短期間で引き渡しまで漕ぎ着けた取引のことを褒めてくれます。
「あの時の内田さんの取引はすごく助かりました。お客さんにもご迷惑をおかけしたけど、あれはすごかったです」って今でもことあるごとに言ってくれたりします。
それくらい期間の短縮に全力を注いでいるのが建売ハウスメーカーさんです。基本的にはそんな非人道的な日程になることはないですが、1ヶ月ルールの中契約から引き渡しまで頑張っていきましょう。
まとめ:建売新築購入が忙しい原因【1ヶ月ルール】
- 建売購入の場合は契約から引き渡しまで1ヶ月ルールがあったりする
- 資金の回転を早くするためにこんなルールがある
- 価格交渉なんかすると尚期間短縮される
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