建売新築一戸建てを販売しているとこの2024年は「建売氷河期」というような言葉が流行った、つまりは建売が売れなくて困ったというところが指摘されたりしています。
コロナ禍の時は売れていて…その後売れなくなったというような流れです。
今回は建売氷河期について紹介していきたいと思います。
【建売氷河期】建売住宅を中心に新築一戸建てが売れない
建売氷河期というのは、そのフレーズでわかると思いますが、「建売住宅が売れない」という時期になっていることを表す言葉です。
これはどういった状況で「建売氷河期」と言える状況なのか紹介いていきます。
建売氷河期と言われるのはなぜ?
建売氷河期と言われるようになった状況は、建売ハウスメーカーや我々のような販売業者の現場の声というのもありますが、よくその言葉が使われるようになったのは、建売最大手のハウスメーカーグループである飯田グループホールディングスさんの2024年の決算発表からでした。
読むのが面倒な方のためにまとめると。
2023年4月から2024年3月までの決算発表があまりよくなかった。ということで、ニュースなどでも取り上げられたことでいうと、
連結純利益が前期の59%減の310億円(従来予想の390億円から下方修正)
というようなことで「大手建売ハウスメーカー飯田GHDが6割減益」というような見出しで報道されたりしました。
6割も利益が減ったらそれは大変なことです。
こういったところで「建売氷河期」、建売が売れなくなったというようなことが言われたりしています。
未契約在庫件数についても2021年3月に16273棟だったのに対して2023年3月は24639棟と増加しているということが指摘されており、やはり売れ残りがある状況ということも紹介されています
建売氷河期の理由は何?
こういった建売住宅が売れないというような状況はなぜ生まれたかというと、
- 建築コストの増加による価格高騰
- 全体的な経済不振
- コロナ禍巣籠り需要からの需要の先食い
というようなことが考えられています。
一つに木材などの価格が上がって建物を建てるための費用が高騰したというところがあります。先ほどの飯田GHDが決算発表資料にも
建物を建てるための費用が1棟あたり17万円増加したものの、市場価格が高くなりすぎているというところもあり、販売価格をそこまで上げることができない状態となり、「売れない」「売れても利益が少なくなる」というような状況にあることが説明されています。
また全体的な日本経済の低調というのもあり、給料は上がらないにも関わらず、建売だけでなく物価全体が高騰するというような状況で、大きな買い物を控える動きというのもあると考えられています。
最後に建売新築一戸建てはコロナ禍の時によく売れた側面があります。リモートワークなどの推進により巣籠もり需要と呼ばれる「家にお金をかける」動きも見られましたし、現場感で言うと正直
何らかの補助金や無担保融資系で気が大きくなり家を買う人も増加していました。
そういったコロナ禍のよく売れた時期のあとに「需要の先食い」状態が生まれ、将来家を買うはずだった人も少し早めて家を買ったことにより、一時期家を買う人が減っているのではないかという分析もされています。
「建売氷河期」の現役不動産経営者の本音
建売氷河期というような言葉がよく使われています。これを現役不動産業経営者はどう思うのかと言うところを紹介していきます。
これは売れてない?それともただ儲かってない?
飯田グループホールディングスさんの決算報告書を見て「建売は売れていない」ということを示しているというのはある意味正確ではありません。なぜかというと確かに利益は減っているのですが、売り上げと販売戸数はそこまで減ってはいません。
建売販売などの戸建て分譲業の部分では「売上収益」「販売棟数」ともに横ばい。そして先ほどから説明している通り「売上総利益」がひどく減っているというような状況といえます。
「売れてはいるけど儲かっていない」というのが正確な表現です。
もちろん「売れてないから」「値段を下げて売るので」「儲かってない」ということですので、ほぼほぼ同じ意味ですが、販売棟数が減ったようなことはないということは忘れてはいけません。
建売の販売在庫についても、前述したように
とも言えるのですが、そんなことを言い始めると飯田GHDの決算発表の報告書を遡ると、
となっておりコロナ禍の期間は在庫が減り、現状の在庫件数が適正在庫という見方もできなくはないという状況でもあります。
何事もデータの取り上げ方次第なものでもあります。
ハウスメーカー以外の人が「氷河期」と言うのは疑問
このような建売が売れないという状況を捉えて「建売氷河期」と言ったりしますが、
多少騒ぎすぎな気もしています。
ハウスメーカーにとっては利益が減っているのでものすごく大変な課題なのですが、例えば我々のような不動産仲介業者にとっては別にこの決算発表の報告資料を見ても「氷河期」感は全くないです。
販売棟数が同じくらいですので、「おるすま」が何件売れるかどうかというようなところが減っているわけではありません。売った売主の利益が減っているのは我々には直接的には関係しません。ですので仲介業者系で『建売氷河期です!』って言っている人がいたら
「え?」って感じです。
ある意味我々は売れないと建売ハウスメーカーさんが値段を下げてくれるし…。それを待っておけばいいだけの存在ですので、建売ハウスメーカーの利益率に影響されないハウスメーカーさん以外が「建売氷河期」と騒いでいるのはちょっと違和感があります。
建売仲介業者が苦しい雰囲気も確かにある
しかし建売新築一戸建てを仲介する不動産業者も苦しいというのはよく聞く話です。
これは厳密にいうと「建売氷河期」というのとは別の話で、仲介業者同士の競争が激化して、弱い仲介業者が苦しくなるという現象です。仲介手数料無料業者の増加というようなところも仲介業者が苦しい一つの要因となっていると考えられます。
つまり、本当はいろいろな仲介業者同士の競争で自社が建売住宅を売れなくなった。→建売氷河期ってみんな言ってるやん。→だからウチも売れないのか!→みんな言っているように「建売氷河期」です!というような感じに考えているわけです。
仲介業者が苦しいのは建売氷河期の話ではなく仲介業者の過当競争の話です。
これも厳しい問題です。が飯田GHDの決算発表の問題点とは全く違う話です。
注文住宅も売れてはないけど…
あと別に注文住宅は売れていて、建売住宅だけが売れていないわけではない問題もあります。細かい話で恐縮ですが、「建売氷河期」と言ってしまうと、注文住宅は売れているのかというような話になってしまいます。
これもおそらくですが、飯田GHDの決算発表をもとにした話題でもあるので、「建売」というような用語が定着したものと思われますが、新築全体で同じ動きはあったので新築氷河期と言ってもおかしくないかと思います。
この建売氷河期というようなものも、「コロナ禍の状況が異常だった」「異常に売れ儲かりすぎていた」だけで元の水準に戻ってきているだけという見方もできる一方で、いや経済の不透明感などあり厳しい状況になる予兆だという見方もあります。
まとめ:【建売氷河期】建売住宅を中心に新築一戸建てが売れない?
- 建築コスト増などで建売ハウスメーカーの利益率が低下
- まだ販売棟数などはそれほど変化はない
- 色々苦しいのはわかるけど、「建売氷河期」は騒ぎすぎ(2024年現在)
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