新築一戸建てを検討している時、物件の検討も重要ですが、住宅ローンを変動金利にするか固定金利にするかという問題があります。
変動利金と固定金利論争は、いろんな要素のある永遠のバトルですね。
俺が買った時から考えたらどっちにしても激安や。
今回はそんな住宅ローンの変動金利・固定金利について解説していきたいと思います。
変動金利?固定金利?どっちが正解?
先に言っておきますがこのページを見てもこちらの動画を見てもらっても、変動金利と固定金利のどっちにしたらいいのかの答えは出ません。それは
- 将来のことなので予測不能
- 人によって違う
からです。万人に言える答えはなく、自分たちの状況や考え方に近いものを選ぶという方法になってきます。
変動金利と固定金利とは
既にわかる方もいると思いますが、住宅ローンには大きく分けて変動金利と固定金利というものがあります。
ざっくり説明すると、変動金利はその名の通り借りた後も金利が変動します。その代わりに固定金利よりも低い金利で借り入れすることが可能です。購入時の固定金利の金利を変動金利が超えていくような上昇を見せなければ、金利も低くなり総支払額を抑えることができます。
逆に固定金利は借りた時点から決められた金利は上昇しません。その代わりに変動金利より高い金利が設定されているので、総支払額は増えてしまいます。しかし35年のローンなどが一般的な長期の借入になる住宅ローンにおいて、何十年後かに訪れるかもしれない金利の上昇の影響を受ける可能性を無くすことができます。代表的な固定金利の住宅ローンには「フラット35」があります。
変動金利はどんな人におすすめ?
変動金利はどんな人におすすめかというと、
- 月々の支払額を下げたい人
- 今後金利が大幅に上がる可能性が少ないと思う人
- 金利上昇リスクに対応する預貯金がある人
- フルローンの人
変動金利におすすめの方はやはり目先の支払額を下げたい人です。その逆で金利上昇したとしても対応できるほどの余力がある人も変動を選んだ方がお得とも言えます。
あと固定の代名詞的な「フラット35」がフルローンに弱いということもあり、フルローンの場合は変動金利を選択したほうが良い場合があります。
固定金利はどんな人におすすめ?
それでは固定金利はどんな人におすすめでしょうか
- 将来の金利上昇リスクが心配な人・一定額の支払いに確定したい人
- 今後金利が上昇していくと思う人
- 金利上昇に対応することができない可能性が高い人
固定金利におすすめの方は金利上昇局面が長い目で見たら来ると思っている方です。少し支払額は増えてしまいますが、「金利が上がった時安心保険」に入って保険料を払っていく感覚に近いので、保険を検討する感じで検討される方がおおいです。
固定金利と変動金利・どうやって決まる?
固定金利か変動金利かは将来の予測になるため、正解を導き出すのはなかなか難しいものがあります。ですが、固定金利と変動金利がそれぞれどのように決まっているか理解しておくことで、自分なりの予想というのは立てやすくなります。
固定金利は新発10年国債の利回り
固定金利はどのように決まるのかというと、国債市場で取引される10年国債の利回りを基準に金利が決定されています
「国債」というのは日本国にお金を貸すということですね。それの利回りが高くなれば、住宅ローンの固定金利も高くなるということです。
10年間という長期のお金の貸し借りになるので、長期間にわたってどうなるのか、「将来予測」の要素のある指標です。単に将来予測的ではなく、海外の事情や投資家の動きによっても変動してくる指標にはなります。
変動金利は短期プライムレート・政策金利
変動金利はどのように金利が決められるかというと、短期プライムレートというもの、もしくはそれの基準となる政策金利というものによって金利が決まってきます。
短期プライムレートとは銀行が優良企業に短期的に貸し出す際の最も優遇を受けた金利のことです。この金利は日銀の政策金利に連動していくため、日銀の政策金利次第で、住宅ローンの変動金利も決まってくると言えます。
日銀の政策金利は景気の安定を図る日銀としては、景気が良くなれば金利を上げ、景気が悪くなれば金利を下げます。いうなれば「現在」の市況を見て判断しているものといえます。
それぞれなんでそれ基準なの?
固定金利は上昇局面・変動金利は変わらずという状況ですが、上記で説明したように同じ住宅ローンの金利の話なのに違う指標を基準に金利を決めているので、違う動きをするということです。
ではなぜこんな違う基準を参考に金利を決めているのでしょうか。
住宅ローンの固定金利は多くの場合35年という長期にわたり金融機関はお金を貸さないといけません。じゃあ将来予測いるよねって話です。
逆に変動金利は貸した後も金利を上げていい余地が残っているわけですから、将来予測にこだわらず現状を参考にお金を貸せるということです。違う言い方をすると貸す側も将来の金利上昇を恐れずに低い金利で思い切って貸せるという良さがあると言えます。
変動金利にしといて上昇局面で固定に借換作戦
変動金利の月々の支払額は魅力的でも、将来の心配もあるという方も多いと思います。そんな変動金利と固定金利で悩むお客さんに言う不動産営業マンの営業フレーズが
営業フレーズ「固定に借り換えたらいい」
「変動金利にしておいて金利が上がってきたら固定金利に借換たらいいんです」
というものがあります。これはよく使うフレーズではありますし、ある意味「変動金利寄り」のお客さんに最後の一押し安心材料になる言葉でもあります。
現実的には勇気がいる(現実的ではない)
しかしこれを実行するのは現実的ではない部分もあります。
現在(2022年7月)の局面でもそうですが、固定金利は将来予測・変動金利は現在の指標を参考に決めることにより、固定金利が先に上昇し、変動金利は後追いという動きをする場合も多いです。
そうなると何の予兆もない固定金利の上昇を察知するような、一流の株やFXトレーダーの嗅覚も必要になりますし、既に固定金利が上昇している局面としても、既に先行して上がり始めた固定金利に、まだ変化のない変動金利の人が借り換える勇気も必要になります。
購入するときに、もっともっと固定金利が低い時期に「変動金利を選択」した人が、今更上がってしまった固定金利に乗り換える決断はなかなか現実的には難しいものがあるでしょう。
手数料もかかり、将来予測が必要で効果も不明な場合が多い
さらには借換には借換の手数料や登記費用などもかかります。それがかかったとしても金利で得できるという状況で効果のやっとでる作戦といえるでしょう。
さらには変動か固定か選択した購入時と同じで、将来どうなるのかという予測の要素がほとんどの「正解のない選択」になります。
変動金利にしといて上昇局面で繰上返済作戦
次に変動金利にしておいて金利上昇に備える対抗策が「上昇したら繰り上げ返済」するという作戦です。
上昇したら繰り上げ返済する作戦
これはどのような作戦かというと、具体例を出して説明するのが一番わかりやすいですが、例えば、3000万円の借入・期間35年・変動金利は0.575%、固定金利は1.51%、そして変動金利が10年後0.975%に上昇しちゃうシナリオとすると、
変動金利にしておいて0.575%で月々7.9万円の支払いをしていきます。その10年後金利は0.975%になるので月々支払いは8.4万円に上昇!支払が月々5000円も上がっちゃうわけです。
そこで繰上返済(支払額軽減型)で150万円ほど返済すると、だいたい月々の支払いは7.9万円に戻ります。
その繰り上げ返済の現金はどう捻出するかというと、もともと固定金利の1.51%と悩んでたわけですので、その場合の月々の支払9.2万円です。本来は9.2万円のものが変動金利で7.9万円しか払わなくていい状態だったわけで、その差額は月々1.3万円お得だったわけです。
そうなると1.3万円×12か月×10年間の156万円は貯金可能ということです。
固定金利との支払額の差額を貯金しといて、変動金利が上昇した時の繰り上げ返済費用にしようという作戦です。これなら将来金利上昇があれば、単に貯金ができただけでお得です。
有効な作戦ではあるが、現実的な問題はある
確かにこの作戦は有効です。ですがこれにも現実的には問題はあります。
①まず金利上昇スピードが貯金のスピードを上回ったら、対応はできないということです。
上の例で言うと10年後に上がったけど、5年後なら?1年後なら?と考えると対策は不十分になってしまいます。
②こ目は現実的に固定金利と変動金利の差額を貯金してる人なんて少ないということです。「そんな貯金できるわけねーよ」という人は実際問題多いと思います。
変動金利と固定金利あるある
最後に変動金利と固定金利のお話は住宅ローンに関するテーマの重要なお話なので、様々な議論がされていますが、その中での「あるある」を紹介していきたいと思います
「変動一択」とか「答え出ました」系はヤバい
変動金利と固定金利のお話は将来の話ですので、答えは「わかりません」。ですが、ネット上には
「変動一択です」「固定一択です」「答え出ました」ということを言う人がいます。
この人たちはヤバいです。結局内容見ると「答え出てない」のがほとんどです。
変動病に罹患する不動産営業マン
一択でないにしろそれぞれ専門家は「こちらがおすすめ」というものはあります。
それを見ていくと、変動金利をすすめる人のほうが多くなっていることに気づきます。さらに言うと不動産営業マンは固定より変動をすすめる人が多いです。
これは不動産営業マンが職業病である「変動病」にかかるからです。これはこの20数年間変動金利が上がらず固定金利を上回ることがなかったため、対応するお客さん全員について
「固定金利を選んだお客さんは損をし、変動金利を選んだお客さんが得をする」
という経験積み重ねた不動産営業マンが、次にくるお客さんには変動をすすめようという思いを抱き、変動金利派になってしまうという職業病です。これは売れば売るほど罹患します。
そういった意味で不動産系や建築系・FP系の人には変動金利をすすめる人が多いわけです。
変動金利と固定金利のまとめ
- 変動金利と固定金利に正解はない
- 変動金利は政策金利、固定金利は10年物国債の利回りを基準に決まる
- 変動金利にして上昇したら固定に借換作戦は現実的ではない
- 変動金利にして上昇したら繰り上げ返済作戦は有効
- 不動産営業マンは売れば売るほど変動をすすめる職業病にかかる
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