建売新築一戸建てを検討しているときに、今までの家賃の支払いから大金を住宅ローンで借りて融資の返済となることに不安を覚える方もたくさんいます。
そんなときに我々不動産仲介営業マンがお客様に言いがちな営業トークが。
住宅ローン審査が通ったということは、支払いはやっていけるってことですよ。
というような営業トークです。今回はそんな「金融機関の住宅ローン審査が通ってるので支払いは大丈夫ですよ」という営業トークを現役の不動産営業マン視点で、騙しなの?あってるの?ってところを解説していきたいと思います。
「住宅ローン審査通ったら支払い大丈夫」って営業トーク
建売新築一戸建てをご購入検討される方でいうと、物件はもう現実に見ることができて新生活はイメージしやすい部分があります。あとは支払いがやっていけるのかという部分です。
そんなときに登場するのが「金融機関が住宅ローン審査を通したということは、お客様が支払いをやっていける金融機関も判断しているということです。買いましょう」っていう営業トークです。
この営業トークどういう論理?
この営業トークどういう理論かというと、
- 金融機関が住宅ローン審査を通した。
- つまり金融機関は返済してもらえると思っている
- つまり借主の年収でそのくらいの借入は普通
- だから心配せず買え
というような理論になっています。
論理が繋がってるようで繋がってない
どこがというとどの部分も微妙に「?」がつきますが、一番繋がっていなさそうな部分は2→3の部分の繋がりが微妙かなと、個人的には感じます。
後でも書きますが、金融機関が見るのは年収と借入額と買う物件の担保価値がメインになりますが、これでは現実に生活されている方のファイナンスを完全に把握できないのは当たり前です。
年収が高くても毎日パチンコに行って飲み代に消費者金融で借入をする人もいますし、300万円台の収入でも「もう毎日仕事場と家の往復だけですわ」といっても貯金が何百万もある人もいます。
そういった部分まで審査できるかと言われると完全には審査できないので、金融機関が返済してくれると思っている=借主の年収でいうとそれくらいの借入が普通、というのは実際は繋がりづらい話なのかなと思います。
「住宅ローン通ったら支払い大丈夫」なわけない理由
それでは細かく「住宅ローン通ったら支払いは大丈夫ですよ」なわけない理由を紹介していきます。
金融機関の審査できる範囲
先ほども第一に挙げたように、金融機関の審査できる範囲は提出された年収の情報や勤続状況、借入の状況、物件の担保価値についての審査がメインになります。その他のことは見ることができません。
当然金融機関も真剣に融資事業をしていますので、「こういった人はこういった傾向がある」というような見える情報の中で返済が滞る人であるか推測して審査するため、支払いが難しくなる人が簡単に通るということはありません
ですがやはり審査にも限界があります。
収入など入ってくるお金については書類があるので審査可能ですが、出て行くお金の程度は審査が難しいのが実情です。特に現金でのやり取りに関しては金融機関も審査することはほぼ不可能になります。
いや融資する理由は物件の担保価値が8割じゃね?
さらに金融機関の住宅ローン審査では個人の支払い能力も判断しますが、やはりなんといっても購入する物件をいざとなったら差し押さえることができることにより、金融機関側も安心して一般の人に住宅ローン融資ができるという部分があります。
つまりは、貸した人の何%かが支払いが苦しくなったとしても、不動産を取り上げれば大丈夫なわけです。
こういった意味合いで考えると、金融機関が審査を通したからといって、自分たちの住宅ローン支払いがやっていけるというお墨付きを貰えたということにはならないことがわかります。
金融機関も住宅ローン融資をしたい
そして金融機関は住宅ローンの融資をして貸した人から利息をもらうというビジネスをしているというところも気をつけないといけません。
貸した人の支払いができるのかも審査の重要な要素にはなりますが、金融機関からすると「なんとか審査を通して貸したい」という部分も出てくるのは仕方ない話です。
投資用不動産の融資案件では金融機関ぐるみで顧客情報を改ざんし融資を通していた事件もあったように「支払いができるか」という視点のみで審査しているわけではないですので注意が必要です。
無駄遣いのレベルは家庭により千差万別
住宅ローンの審査が通れば支払いはやっていけるという話の1番の疑問点はやはり「無駄遣いのレベルは家庭により違いすぎる」というところにあります。
生活に不可欠な食費や水道光熱費などはそれほどお客様の家計を見ても変化は少ないですが、趣味や遊興費に関しては各家庭で千差万別です。
年収と借入額だけでは語れない話がたくさんありますので、ご自身の出費などを計算に入れていご自身で支払額がやっていけるのか考える必要があります。
この営業トークの現実と対策
不動産営業マンのこの営業トークに気をつけろというような内容の話にはなりますが、現場で現役の不動産営業マンの立場でいうと一般的な「騙されるな」っていう部分以外に言えることは少しだけあります
収入合算とフラット35以外ならそう思っても可?
先ほどから言っているように「支払いができるかどうかは金融機関ではなく自分しかわからない」という部分は間違いなく言えることだと思います。
ですが、金融機関側も無理な人にお金を貸して貸し倒れるわけにはいかないので、審査が通ったから支払いが大丈夫というのにも一つ信じるべき点はあります。
ただ借入をする方法や住宅ローン商品によっては借り過ぎになる場合もあります。それは収入合算とフラット35です。
収入合算は夫婦や親子などの収入を足して住宅ローン審査をする形態になります。この場合2人の収入をたし合わせているので借入額が伸びやすい特徴があります。ですが夫婦などを例にとると奥さんは出産や育児によって収入が減ったりする可能性もありますので、結果として借り過ぎになる場合も多々あります。
もう一つはフラット35ですがこれは審査自体も緩い商品になりますので、収入に対して借入額が一番大きくなりやすい不動産商品になります。
こういった住宅ローンを利用する場合は、「審査が通ったから支払いは大丈夫でしょ」というような感覚で行くの危険です。
現実、本当に営業トークに騙されてる?
最後に営業トークとして言う可能性もある我々不動産業者の率直な意見ですが、「現実でその営業トークに騙されたって人いる?」っていうのが感想です。
少なくとも対応させていただいたお客様は「銀行の審査がいけてんから支払いもいけるでしょ」っていう感じで購入されている方は少ないと感じています。住宅ローンが通って支払額がある程度確定しても「この支払いでやっていけますかね?」と不安になったり「色々計算してみたんですけど、この支払いならやっていけそうです」と決断されたり、金融機関の審査を鵜呑みにしているような人の方が少ないです。
ですのでこの営業トークを使っても正直ほとんど契約が決まりやすくなるというような効果はないと感じている不動産営業マンが大多数だと思います。
まとめ:審査が通ったら支払いも大丈夫という営業トーク
- 当然ですがそんなことはない。
- 支払いがやっていけるかは「自分」しかわからない
- フラット35と収入合算は借入額が伸びてしまうので注意
- これに騙されるような単純なお客さん見たことない
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