建売新築一戸建てのお引き渡しはどこですると思いますかという質問をすると、意外と「現場で」と仰るお客様もちらほらいます。
多くパターンでは「金融機関の応接室」で行います。
今回はそんな建売新築一戸建ての引渡しの場所やその場所をセッティングするために行われる金融機関と不動産屋の壮絶な戦いについて紹介していきたいと思います。
銀行の応接室で引き渡し
結構多くの方が金融機関ではなく「購入する物件の現場」と答えます。やはり「引渡し」という言葉ですので、鍵を渡したりするということは現場かな?と思う方も多いようです。
さらには後で紹介しますが、注文住宅を購入された方が身近にいると、不動産の引渡しとは別でセレモニー的に現場で引き渡し会をする場合もあるので、そういった話を聞いて「現場で引き渡しをする」と思っている人もいます。
住宅ローンの融資元に応接室を借りる
不動産の引き渡しはどこでしないといけないということもありませんが基本的には、買主が住宅ローンの融資を受ける金融機関の担当支店の応接室を借りて、引き渡しをします。
引き渡しをするためには購入資金を用意しないといけませんが、住宅ローンの場合融資の手続きをしないといけませんので、融資元の銀行でする必要があります。
現金購入であったとしても数百万の現金を持ってきてもらうより、銀行での振込作業にした方が遥かに作業が少なくて楽です。具体的には現金を一枚一枚数えて足りているか売主側で確認するより、振り込み作業で通帳に間違いない金額が印字される方が楽です。
そういった意味合いで建売新築一戸建てをはじめ不動産の引き渡しは基本的には金融機関で行うことになります。
注文住宅の場合は現場で引き渡しセレモニーも・・・
不動産の引き渡しは現場ですると思っている方が多いということで、なんでそう思ってたのかを聞くと、親族や友達が家を買った時に現場で引き渡しセレモニーのようなことをしているのを聞いたり見たことがあるからという回答があります。
確かに注文住宅の一部の会社では銀行での融資や支払いの手続きといった一般的な引き渡しの作業の後、現場に再集合して引き渡しセレモニーをする場合もあります。
応接室を借りたい不動産屋VS貸したくない銀行
住宅ローン融資がある場合は、このような不動産の引き渡し場所となる応接室を金融機関が責任を持って用意してくれますが、現金購入の場合は、金融機関側にも応接室を貸すメリットが薄く、できたら貸したくないという場合もあります。
現金購入の場合は銀行が応接室を貸したがらない
現金購入などの場合は、その現金が預貯金として入れられている金融機関で不動産の引き渡しをすることが一般的になります。そうなると不動産業者がその金融機関に
〇〇様という御行で口座を持たれている方が不動産を購入されまして・・・不動産の引き渡しで応接室を貸してもらいたいのですが。。。
と電話でお願いをすることになります。
金融機関も住宅ローンを借りてくれるとなると、利息が発生し銀行の収入になるため「応接室くらいいくらでも使ってください」というテンションなのですが、現金購入で住宅ローンがない場合には金融機関によっては「なんで貸さないといけないの?」というテンションのところもあります。
確かに応接室には限りがあるため住宅ローン利用者で同じ日時で予定が入ってしまった場合に困るので、あまり住宅ローン利用者じゃない方の不動産取引に予定を入れたくないというのはわかります。
フラット35の場合も同じく引き渡し場所難民になりがち
このような引き渡し場所難民のような状態になりがちなのがフラット35での住宅ローン融資の方です。フラット35は店舗を持たないフラット35専門の金融機関(例えばアルヒやオリックスやSBIなど)から借入をする場合も多いです。
このような場合も現金購入などと実質的に変わらずに、住宅ローンとは全く関係な金融機関に応接室を貸してもらわないといけません。
どうしても貸してくれない時は窓口で
金融機関が「どうしても応接室は貸せません。」と言っている場合で、それでもその金融機関で不動産の取引をするしかない場合はどうするのかというと、窓口でするという方法があります。
皆さんが振り込み作業や税金の支払いなどで整理券を持ちながら待っている待合椅子のところで不動産の引き渡し作業を売主・買主・仲介業者・司法書士で行います。そして全てが終われば整理券を引いて呼ばれたら窓口で振り込み作業をします。
ものすごくカッコ悪い取引になります。
カッコ悪いどころか待合室で借入額の確認や購入物件の確認をするので個人情報的にも心配になります。
不動産屋と金融機関の交渉対決
こういった状況になりますので不動産営業マンとしてはどうしても応接室やせめてパーテーションで区切られたような応接スペースを貸して欲しいところです。
この住宅ローンの取引がセットではない人に応接室を貸したくない金融機関担当者とどうしても借りたい不動産営業マンの対決は、非常に激しいものがあります。
銀行員:いやいや住宅ローンとセットじゃないと貸せないルールで。
不動産屋:預金されているお客さん本人に言いますよ?〇〇銀行が応接室を貸さないので引き渡し当日はちょっと恥ずかしいことになりますって。
銀行員:いやーお客さんから直接の依頼でも貸せないことになっているんです
不動産屋:当日すごい雰囲気になっても知りませんよ
銀行員:いやーそれでもねー
不動産屋:当日応接室使われているか見ますよ。空室なってたらお客さん怒ると思いますよ?
というような不動産業者としては全力でお客さんを人質に取ったような交渉になります。金融機関としても、「住宅ローンのメリットがないだけで預金をしてくれているお客さん」ではあるので無碍に断るのも難しい状況ですが、決まりは決まりという側面もあります。
ネット銀行の融資は現場や事務所などで
最近の流れとしては、金融機関で不動産の引き渡しをする機会というのは減少していくのではないかと考えられています。
その大きな流れがネット銀行の融資です。
建売新築一戸建ての購入者の中でもネット銀行で住宅ローン融資を受けて購入される方が増えてきました。ネット銀行の場合は店舗もないですし、フラット35のように他の金融機関の店舗を借りることもありません。
住宅ローンの融資を受ける買主にスマートフォンなどで振り込み操作をしてもらうことによって住宅ローン融資と売主に対する支払い作業を終わらせます。つまり場所はどこでもいいということです。
これからはこのような金融機関で不動産の取引をしないということも増えてくることが考えられます。
まとめ:不動産の引き渡し場所はどこ?
- 基本的には金融機関に応接室を借りて引き渡しをする
- 現金などの場合も基本は金融機関に集合する
- 金融機関も住宅ローンがセットじゃないと応接室を貸したがらない
- 不動産屋と銀行員の貸して嫌やの交渉対決は激しい
- ネット銀行の台頭で銀行決済ではなくなる日も近い
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