建売新築一戸建てを探しているけど、ニュースで住宅ローン破綻が増えているって聞いて不安になっている方はいないでしょうか。
住宅ローン破綻は増えているのかどうか。
今回はそんな住宅ローン破綻する家庭が増えているというようなニュースがよく言われることについて紹介していきます。
住宅ローン破綻をしているご家庭が増えている?っていうお話
住宅ローン破綻とは何かというと、その名の通りマイホームを購入するために組んだ住宅ローンという借り入れ商品の支払いが困難になって破綻することです。
住宅ローン破綻急増の話は伸びる
なんでもそうですが、他人の不幸の話はみんな見たがるものでしてという話で、芸能ニュースでも結婚などのニュースより不倫や逮捕のニュースの方がバズりやすいです。そんな感じで不動産業界なんかでいうと、「コロナ禍で巣篭もり需要が高まったのか新築一戸建てが売れに売れています!」ってニュースよりも「住宅ローン破綻急増!?」「在庫増でハウスメーカー困窮」なんてニュースがよく見られるわけです。
そしてこれもなんでもそうですが、ニュースもブログ記事も動画も見られる方が儲かるという部分がありますので、本当にそんなことがあるのかどうか微妙な話でも記事になりやすいという側面もあります。
このような感じで「住宅ローン破綻が急増している!」ということを広めてもあまり何もないのですが、よく見られるからそういう情報が出るという部分はあります。
住宅ローン破綻が増えているデータは?
住宅ローンが破綻する確率というのはデータが取りづらいものでもあります。各金融機関が「何%破綻しています」というデータは普通は公開しないものですので。しかしフラット35はそれに近いものを出しています。それがリスク管理債権に関するデータです。
リスク管理債権とは、借入をした人が滞納をするなどによって通常の回収ができなくなっている債権(ここでは住宅ローン)のことです。住宅金融公庫のリスク債権・その2・統合報告書によると
平成22年度 | 8.48% |
平成23年度 | 7.70% |
平成24年度 | 7.47% |
平成25年度 | 6.67% |
平成26年度 | 5.87% |
平成27年度 | 5.12% |
平成28年度 | 4.52% |
平成29年度 | 3.94% |
平成30年度 | 3.46% |
令和元年度 | 3.20% |
令和2年度 | 3.32% |
令和3年度 | 3.17% |
令和4年度 | 3.05% |
このような数値になっています。
むしろ減少していますね。
フラット35はもともと一般の銀行融資の住宅ローンよりも、借り入れするのが難しい方にも融資する商品ですので、一般の銀行融資よりも破綻率は少し高く出ることが考えられますので、こういった指標を参考にして住宅ローン破綻が増えているのか考えるべきです。
数値としては減少傾向にあるということが言えます。
また住宅ローンの借り入れ自体も減少傾向にあります。(人口がそもそも減っているので)。そうなると過去の住宅ローンが完済によりなくなっていく中で、住宅ローンの支払いが困難になっているというリスク債権の率も下がっているということは、かなり昔に住宅ローンを借りた人の中で破綻比率が高いということが考えられます。
これは金利差の要因です。昔は今のような低金利の時代ではなかったですので
そう考えると、結構昔に高い金利で借りた人が、コロナ禍などの情勢の変化によって破綻するというようなものがメインのストーリーだったりするのではないかな?というような推測が働くようなデータになっています。
建売販売業者として個人的に聞く話としては
しかしそんな話とは別に自分で聞いたりした話として、増えているように感じるというのも一つの考え方としてはアリです。
YouTubeをやっているコメント欄でもあまりにも私が「住宅ローン破綻なんて増えてる?聞いたことないで」みたいなことを言うので、「知人のところはこんな感じで大変です」みたいなお話も書いてくださる方がいます。
こちらでも書きましたが、建売新築一戸建てを購入された方の中には正直全然破綻する人の話は聞いたことがありません。それは元々建売は安いので借入額が無理ない場合が多いというところがあります。
そうなってくると注文住宅の方に住宅ローン破綻が多いのかというと、増えたような気もするっていう注文住宅の営業マンからの話は聞きましたが、急増ってほどでもないというようなところです。注文住宅の購入者には夢のマイホームで無理をして購入される方もいるので、そういったところが住宅ローン破綻に繋がっていくと考えられています。
住宅ローンは贅沢品のローンとはいえ、あくまで「住居費」ですから、それで破綻するというのもあまり多い話ではないのも事実です。
営業マンはヤバいと思っても止めない話
またこのような話をすると不動産営業マンが自分の利益のために高い家を売りつけるから、住宅ローン破綻をする家庭が生まれるという論点もあります。
確かに不動産営業マンは家を売って仲介手数料を得る仕事ですので、不安にならないように提案したり、実はヤバいやろなって思っていても購入を止めることはないと思っていただければと思います。
しかしお客様の破綻は営業マンのせいであるかは別の話で。。。
現場で働く住宅営業マンなら全員わかる話だと思いますが、支払い大丈夫ですか?やっていけますか?って聞いたって購入する人はするし、言わなくても不安になって立ち止まる人は立ち止まります。言ったって欲しくて盛り上がっている状態なら止めようないのが本当のところです。
支払いを少なめに見積もったりっていうのをする不動産営業マンでない限りは、お客様の住宅ローン破綻はお客様の決断によって起こったと考えるのが普通です。
住宅ローン破綻急増のニュースのお話
このような感じで「住宅ローン破綻急増」って一体なんなの?本当はどこで起こっている出来事なの?っていうような印象すら持つのですが、ニュース自体は時々やっています。
任意売却の業者に聞いてみる動画構成
「住宅ローン破綻・任意売却業者に依頼殺到」的なニュースや動画ありますよね。
任意売却とは住宅ローンの支払いが困難になった人に対して金融機関と交渉して折り合いをつけその不動産を売却する方法なのですが、それを専門にやっている任意売却専門の業者に取材に行き
みたいな感じで、住宅ローン破綻が増えています!みたいな動画構成になっています。
ですが普通に考えて、その会社に問い合わせが増えていることと住宅ローン破綻が増えていることは論理として繋がりません。その会社が広告費を2倍にすれば普通は問い合わせは2倍になります。その会社が企業努力で知名度が上がれば同一費用で問い合わせが2倍になることもあります。
パワーカップルの住宅ローン破綻的な動画構成
「パワーカップルがコロナ禍で住宅ローン破綻」的な内容も時々あります。
今の日本の住宅ローンでいうと、夫が組んでというような場合も多いですが、時には妻も住宅ローンの保証人に入って借入額を伸ばし夢のマイホームを購入するパターンもあります。
って感じの内容も多いです。
まず妻出産で仕事やめてるやん。原因そこや。
って思ってしまう内容ですが、色々あったんでしょうと。買う前に考えてたことと事情も変わったんでしょうと。そして私もよく書いているように夫婦合算で借入額を伸ばすやり方が一番破綻しやすいので気をつけましょうという話ではあります。
その話は置いといて住宅ローン破綻急増ってことは、なんらかの要因でこのような無理して買う人が増えたってこと?っていう話になります。そんなことないと思います。日本の経済状況も反映し年々新築を買う人は慎重になっているように感じます。
不安な情勢になってきているのは確か
しかしこのように住宅ローン破綻って本当に増えているの的なことを書いてきましたが、私は個人的には、このニュースとかを聞いた上で「ビビり倒しながら」購入を検討するというのが非常に大事だと思っています。
世に出ているのような住宅ローン破綻急増という情報には、データの伴わないものであったり、ちょっとよくわからない論理構成だったりするものも多いですが、そういった情報を見聞きしてより慎重に検討することが重要になってきます。
住宅ローン破綻が増加っていうのは本当?
- 住宅ローン破綻急増という発信が急増している
- 住宅ローン破綻が増えているかのデータはどこにもない
- 大昔高い金利で借りた人が住宅ローン破綻する率が高いと推測される
- 住宅ローン破綻系の情報発信にツッコミ入れていくと意外と楽しい
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