2024年10月から各銀行の住宅ローンの変動金利が0.15%上昇しました。

皆さんはもちろん不動産業者としても嫌なニュースではあります。
今回はそんな日銀の政策金利利上げから動いた、住宅ローンの変動金利の上昇について紹介していきます。
ついに住宅ローンの変動金利が0.15%上昇
2024年10月に住宅ローンの変動金利が各銀行大体0.15%ずつくらい上昇しました。これは各銀行の方針もありますが、結構多くの銀行でこの上昇幅でした。

利息で払う金額が増えるので単純に嫌なニュースですが。
なぜこんな動きがあったのか先に解説していきます。
日銀の政策金利が利上げ
各銀行が住宅ローンの金利を同時に同じ数値上げるのには理由がありまして、まず同時になるのは単純に銀行が基準金利を見直す時期が「年2回・4月と10月」に設定している場合が多いからです。
同じ数値上げるのにも理由があり、それぞれの銀行で基準金利を決める時に日本銀行の政策金利というものを基準に決めています。ですので日銀が利上げすると各銀行同時に住宅ローンの変動金利の基準となる金利を上げる動きをするのです。

なんか談合みたいな話ですが。。。
そして今回で言うと2024年7月末の日銀の発表で政策金利を0.1%から0.25%に利上げをすると発表がありました。0.15%あげるということです。
それを受けて各銀行住宅ローンの変動金利を日銀の利上げの数値と同じだけ上げたという流れになります。
マイナス金利解除では各銀行静観も…
そんな日銀の政策金利ですが、実は今回の利上げの前に2024年3月にも一度利上げが行われています。この時はマイナス金利だったものを0%〜0.1%に利上げしたということで「マイナス金利解除」ということで話題になりました。
しかしこの時は、各銀行同じ利上げであるにもかかわらず「静観」し、住宅ローンの変動金利を上げたりしませんでした。
それはなぜかというと、遡ること2016年1月から日銀がマイナス金利政策を始めた時に、利下げをしたのに各銀行は金利を下げなかった過去があるものと考えられています。

直近で下げた時下げなかったのに、上げたときは上げると納得感がないですので。
そういった事情で1度目の2024年3月の利上げは各銀行「静観」、さらなる利上げとなった2024年7月の利上げに関しては各銀行「同じ幅だけ利上げ」というような動きをとったという風に言われています。
変動金利の変動は私も初めてみた。
私は15年ほど不動産業界におり、実際に不動産を購入される方の住宅ローンに何年も携わってきましたが、住宅ローンの変動金利が上昇したのを見たのは初めてでした。

私が大学卒業し不動産業に携わり出したのが2009年くらいですから、赤い線はずーっと一直線で変化もないままという感じですね。

変動金利という名前なのに変動しないというイメージ。
これから金利が上昇していくのではないかという風に言われる反面、グラフの左側のようなバブル期のような数値にはなりづらいのではないかという説もあります。
住宅ローンの変動金利が上がるとどうなる?

そんな経緯で住宅ローンの変動金利が上昇するということになりましたが、「0.15%金利が上がったらどうなるの?」という方も多いと思います。
どれくらい変化があるのか。
今回変動金利が0.15%上がった金融機関が多いと思いますが、単純な例の単純計算で月々どれくらいの支払いが、そして総利息はどれくらい変化するのかというと
次に0.15%あげて
0.15%上がったことによって、月々の支払いは2,695円増加し、35年間で払う利息の合計は1,131,951円増えていることになります。
既存の変動金利で住宅ローンを借りている人
変動金利の変動というのはこれから借りる人だけでは今まで変動金利で借りているすべての人に影響します。
しかし10月に変動金利が上昇したからといって、10月の支払いから2,000円上昇しますということはありません。

そんなコロコロ支払額変わると払う方も引き落とす方も大変です。
多くの変動金利の住宅ローンの場合は5年で支払額を変更する契約になっています。ですので皆さんが不動産を購入して住宅ローンを契約したタイミングの5年周期の次のタイミングが来るまで支払額は変わりません。
ですがそれまで金利上昇の影響を受けないかというと、そうでもなくて、それまでの間は元金と利息の割合を変更して対応することになります。

「ステルス値上げ状態」です。
まとめると、今回の2024年10月の変動金利の上昇で、すでに変動金利で借りている人は、5年見直しの時が来るまではこれまでより元本の減りが遅くなるステルス値上げ状態、5年見直しのタイミングが来てその時に利上げの影響を受けた支払額に変更される。という形になります。
これから住宅ローンを変動金利で借りる人
これから住宅ローンを変動金利で借りる人には当然影響します。しかし変動金利は先ほどから解説している通り、借りた後に変動があってもその影響を受けるタイプの借入ですので、「早く借りておけばよかった」ということはありません。
9月に借入しても10月の利上げの影響は受けます。

ただ…。
変動金利の基準金利は上昇するものの、一部の融資しやすい属性のお客様に対しては「優遇幅を上げる」ことによって今までの適用金利で個別対応するという動きもなくはありません。
基準金利は2.625%になったものの2.15%優遇し結局0.475%で融資する
というような取り組みです。
日銀の利上げ直後は、このような優遇幅を上げることで新規の適用金利を上げない方法を取る銀行が多くなるのではと予想されていました。

それほどに新規の住宅ローンというのは銀行にとっては「取りたい案件」なわけです。
ですが蓋を開けてみると、そんな動きはあまりない。普通に適用金利まで上がっているようなケースが多い印象にあります。
変動上がったら固定に借り換え作戦は実質不可能?
この変動金利の上昇で一つ方法として不動産営業マンが言いがちなのが、
「変動金利が上昇してきたら固定金利に借り換えたらいいんですよ」というものなのですが、これはこの十数年言われ続けた営業トークでしたが、いざそうなってみると「そんなん無理」ということがわかりました。
なぜかというと、変動金利が上昇する頃には固定金利は上昇した後になるので、変動金利が上がってきて不安になってきた頃には固定金利は借り換えたいと思うような金利ではなくなっているためです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
変動金利の上昇は今2024年10月からスタートした気配がありますが、固定金利の上昇は2019年から始まっており、1.2%あたりだったものが2024年には1.9%前後まで上がっています。
まとめ:住宅ローンの変動金利が0.15%上昇
- 住宅ローンの変動金利を各銀行0.15%上昇させた。
- 日銀の政策金利の利上げに対応している。
- 変動金利上昇対策は…。節約・貯金。
- 今更固定金利に借り換えるのはちょっと悪手っぽい。
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