最近建売新築一戸建てを探していると「住宅性能評価書付き」「耐震等級3取得」などの物件が増えてきました。以前はそんな物件はほとんどなかったのに住宅性能評価を利用するパワービルダーが増加してきたのです。
建売新築に住宅性能評価がついてるなんてすごいことですよね。
建売の品質向上は大手建売ハウスメーカーさんの企業努力によるもの。売りやすくなってるから感謝しかないよ。
いつになくメーカーを褒めますね
今回はそんな建売新築一戸建てにおける、住宅性能評価書について解説していきたいと思います。
建売で住宅性能評価書あり?なし?【評価書があれば安心とは言えない】
最近では建売住宅でも住宅性能評価制度を利用した「住宅性能評価書付き物件」というものが増えてきました。
大手建売グループの飯田グループホールディングスに属する、一建設やアーネストワン・アイディホーム・東栄住宅などは住宅性能評価書付きの物件を販売しています。
こちらはアーネストワンさんの物件での設計住宅性能評価書です。こういった書類で渡され、2ページほど各項目の性能表示の書類が続きます。
地方の建売メーカーが住宅性能評価制度を利用しているかと言われると、使っていないというメーカーもまだまだあります。
任意の制度ですので、住宅性能評価書があるから安心というものでもありませんし、ないから不安というものでもありません。すごくいい家を建てたけど評価を受けていない場合もありますし、評価書はあるけれど各項目最低ランクということもあります。
そもそも住宅性能評価書とは
住宅性能評価書とは、国土交通大臣に登録した第三者評価機関が全国共通ルールのもと、住宅の性能を公平な立場で評価し、その結果を表示した書面です。
住宅の性能については、10の分野において等級や数値などで評価する方式です。
住宅性能評価書には2種類あり、
- 設計時の図面から評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」と
- 施工中・竣工時の現場検査と検査結果からまとめた「建設住宅性能評価書」
に分かれています。
この住宅性能評価制度によって各ハウスメーカーの住宅性能評価で取得されている等級を比較することによって、建物の構造や仕組みについてある程度は比較できるようになりました。
その他にも新築一戸建てでいうと「長期優良住宅」の認定をとっているかどうかなども検討要素になります。
住宅性能評価書の評価項目
住宅性の評価書の評価項目は先ほど言ったようね10項目あります。
- 構造の安全に関すること
地震などが起きた時の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさ、強風や大雪に対する強さに関する評価をします。等級1でも建築基準法を満たす住宅なので、大地震が起きて倒れてしまうことはまずないと考えられていますが、性能表示を使うと評価機関が建築工事を検査するので、ミスや手抜き工事の防止に役立ちます。 - 火災時の安全に関すること
住宅の中で火事が起きたとき、安全に避難できるための、燃え広がりにくさや避難のしやすさ、隣の住宅が火事のときの延焼のしにくさなどを評価します。 - 劣化の軽減に関すること
年月が経っても土台や柱があまり傷まないようにするための対策がどの程度されているかを評価します。マンションなどで多く採用されている「鉄筋コンクリート造」の場合は、主に柱や梁のコンクリートがもろくならないための対策を評価します。 - 維持管理・更新への配慮に関すること
水道管やガス管、排水管といった配管類の点検・清掃・補修のしやすさ等を評価します。配管類は一般に構造躯体の修繕などを実施するよりも早く取り替える必要があるため、配管の点検や清掃のしやすさや、万一故障した場合の補修のしやすさなどを評価します。また、共同住宅については、間取り変更のしやすさの情報として、躯体の天井高などの表示も行います。 - 温熱環境に関すること
冷房や暖房を効率よく行うために、床・壁・天井や窓の断熱性能について、評価します。 - 空気環境に関すること
建材に使用されている接着剤の中に含まれるホルムアルデヒドという物質が、シックハウスの原因のひとつとされています。このため、建材に含まれるホルムアルデヒドについて評価します。
また、住宅の中で健康に暮らすためには適切な換気が必要なので、どのような換気設備が整えられているかについても評価します。 - 光・視環境に関すること
東西南北及び上方の5方向について、窓がどのくらいの大きさで設けられているかを評価します。 - 音環境に関すること(選択項目)
主に共同住宅の場合の評価項目で、上の住戸からの音や下の住戸への音、隣の住戸への音などについて、その伝わりにくさを評価します。(この評価はオプションです) - 高齢者等への配慮に関すること
高齢者や障害者が暮らしやすいように、出入り口の段差をなくしたり、階段の勾配を緩くしたりというような配慮がどの程度されているかを評価します。 - 防犯に関すること
外部からの侵入を防止するために、開口部(ドアや窓など)に防犯上有効な建物部品を設置する等、進入防止対策がされているかを評価します。
住宅性能評価はバランスの要素もある
住宅性能評価を通知表と例えましたが、通知表では算数がAで国語がAというのも全然ありますが、ある項目違う項目の足を引っ張るということもあり得ます。
例えば住宅性能評価においては、1の「構造の安定性」を強くすると、壁の部分が多くなり、窓が少なくなるので、7の光・視環境に関することの評価が下がったりします。
学校の通知表のように「すべてで高得点をとらないといけない」というものではなく「家の性能のバランスを見る」ようなものと考えたほうが良いかもしれません。
建売住宅で住宅性能評価書のメリット
住宅性能評価制度を受けている物件では、第3者が入っていて信用できるという安心感だけでなく、住宅ローンや地震保険での優遇も見込めます。
●第三者機関が審査しているので安心
住宅性能評価書は国土交通大臣の登録を受けた第三者機関の評価員が公平に性能をチェックしてくれているので評価の信ぴょう性には期待できます。
建売住宅に限らない部分もありますが、住宅の性能に関しては皆さん不安があると思います。
売主や販売業者はやはり販売したいので「いいこと」だけ言ったり、時には誇張して言ったりする可能性もあります。ですが住宅性能評価書はあくまで第三者の立場で評価するので一定の信ぴょう性があります。
また万が一紛争になった場合も国土交通大臣が指定する「指定住宅紛争機関」の対応を受けることができます。
●フラット35など住宅ローンの優遇
住宅性能評価書があれば住宅ローンにおいて優遇が受けられる場合もあります。
例えばフラット35の金融機関の事務手数料が割引になったりします。
ある金融機関では事務手数料の計算方式は、
・住宅性能評価書がなければ、借入額×2.2%
・住宅性能評価書があれば、借入額×0.5%
となっており、3000万円の借り入れをした場合は、約50万円もお得になったりします。
●耐震等級3取得で地震保険が半額
住宅性能評価書の中でも①の構造の安定に関することについて「耐震等級3」を取得していると地震保険が半額になります。
加入する保険の金額にもよりますが、地震保険の保険料が年2万円とすると、一年間に1万円の節約になり、通常5年間の地震保険に加入する方も多いので住宅購入時の初期費用を5万節約することができます。
建売住宅で住宅性能評価書のデメリット
住宅性能表示制度のデメリットは、費用がかかることです。
住宅性能表示制度を受ける際には、当然ですが検査機関に支払う費用が発生しています。だいたい10万円~20万円ほど。建売新築一戸建てでは多くの場合は、建物価格などに含まれているので追加でかかるということはありませんが、かかった費用だけ価格は上がっているということは考えておかないといけません。
さらにはよい評価を受けようと仕様を上げるごとに建築コストも当然上がります。
建売住宅ではなく注文住宅を購入する方にとっても建物の仕様を検討しているときには、それだけのコストをかけてまで取得するべきかを考える必要はあります。
住宅性能評価書なしの物件のリセールバリュー
建売新築一戸建てで住宅性能評価済み物件というのは非常に増えました。そうなると住宅性能評価物件を売っているハウスメーカーと、ついていないハウスメーカーに分けられるわけですが、
住宅性能評価のない物件を買って大丈夫?
っていう話になります。
住宅性能評価無し物件は中古で売れづらい?
まず住宅性能評価無しの物件は中古物件として販売したときに売れづらいかというと、現状は全然そんなことはありません。
住宅性能評価制度自体は結構前からある制度ですので、新築時に住宅性能評価を受けた物件というのも中古市場に出回っていますが、それで売れやすさが違うということはありません。
中古一戸建て販売で新築時の何かが売れ行きに関わるということで言うとやはりハウスメーカー名というところはあります。例えば「積水ハウスで建てた家です!」なんていう中古一戸建ての広告のセールス文句なんかは広告ではよく見ます。
逆に「新築時に住宅性能評価済み!」なんてはあまり見ません。
このような感じで中古市場ではそれほど住宅性能評価制度を利用した物件なのかどうかは検討する人は少ないのが現状と言えます。
売れづらくなる可能性は高いのか
しかし建売新築一戸建てでも住宅性能評価制度を積極的に利用するハウスメーカーが増えたのはここ数年の話です。そういった物件が中古市場に出る頃には、住宅性能評価制度の利用の有無が売れ行きに大きく関係してくるかもしれないという考え方はあります。
しかし未来のことはわからないのですが。
多分その可能性はあまり高くありません。住宅性能評価制度はあくまで新築時の性能評価という風に言えます。中古一戸建てを購入する場合に、新築時にあった性能を重視する考え方はあまりにも意味がありません。
例えば住宅性能評価で耐震等級3だった物件でも、5年後に中古一戸建てとしてその物件を購入する場合はいいですが、20年後にその物件を買う場合には「20年前に耐震等級3だった」事実を大きなポジティブ要素と捉える人はあまりいないでしょう。
ホームインスペクションの普及など中古市場では現状把握が重要視される時代になってきていますが。。。
新築時の性能が一体どうだったのかというのはそれほど売れ行きには関係がないと考えられます。
建売で住宅性能評価書あり?なし?【評価書があれば安心とは言えない】:まとめ
住宅性能評価書はさまざまなメリットがある。
建売新築一戸建ての場合は、住宅性能評価書取得にかかった費用もすべて込みの価格で販売されていることも多く追加費用は特にないので、是非ついている物件を買いたい。
住宅性能評価は「満点」を目指すものではなく、自分が家に何を重視するか、バランスで考えるべきもの。
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