ローン特約による解除とは?仲介手数料の支払義務はありません。

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不動産の売買契約で住宅ローンを使う場合、売買契約書に必ず出てくるのが「ローン特約による解除」「融資特約による解除」です。

おるすま内田
おるすま内田

建売販売の場合、ほぼローンが通ることが確定している段階で契約するのでローン特約はあまり活用の機会が無いですね。

おるすま澤田
おるすま澤田

本当にイレギュラーな時用の規定になるわな

このローン特約・融資特約とは何なのか。解除した場合仲介手数料は支払わないといけないのかについて解説していきたいと思います。

ローン特約による解除とは?仲介手数料の支払義務はありません。

ローン特約・融資特約の解除・仲介手数料

ローン特約・融資特約とは、住宅ローンが通らなかった場合、契約を解除させてもらいますという約束のことです。

通常の売買契約ではこのローン特約というのが付いています。住宅ローン以外にお金を用意する方法を普通の方は持っていないので、当然ですよね。

この住宅ローン特約で解除になった場合は仲介手数料を支払う必要はありません

つまりこの住宅ローン特約で解除になった場合は

  • 売主に対しては売買契約は解除、つまり支払った手付金なども返還
  • 仲介業者に対しては、仲介手数料を支払う必要もない

ので、住宅ローンが通らなかった時にはリスクなしで解除ができるということです。

住宅ローン特約・融資特約がある理由

売主に対しては売買契約は解除、つまり支払った手付金なども返還 仲介業者に対しては、仲介手数料を支払う必要もない

一般的には住宅ローンの事前審査を通過した段階で売買契約を締結し、引き渡しまでの間に本審査をするというケースが多いので、本審査で万が一住宅ローンが否決されたときに無条件で解約することができるようにするために、ローン特約というのがあります

もしこの特約がなければ、住宅ローンが通らなくて契約を解除する場合も、「手付解除」や「違約解除」という取り扱いになり

  • 「手付解除」なら手付金が返金されない
  • 「違約解除」なら違約金(物件金額の20%など)の請求をもとめられたり

します。

こういったペナルティなく住宅ローンが通らなかった場合に無条件に解約することができる特約というのが、住宅ローン特約なのです。

住宅ローンの本審査通過までにはかなりの時間がかかります。そこまで物件を契約できないとなると「購入者を早く決めておきたい売主」にも「物件を押さえたい買主」にも不利益です。ですので住宅ローンの目途がある程度たった段階で、住宅ローン特約をつけて売買契約をするのです

購入者は売主に対してはローン特約により、手付金の没収や違約金を支払うというようなペナルティなく解除できます。それでは仲介業者に対してはどうでしょうか。ローン特約による解除をしても仲介手数料は支払う必要があるのでしょうか?

【法的見解】ローン特約解除での仲介手数料

ローン特約・融資特約の解除・仲介手数料

ローン特約・融資特約により解除された場合は、仲介手数料を支払う必要がありません

国土交通省が推奨している仲介の時のルールにも

融資の不成立が確定し、これを理由として甲が契約を解除した場合は、乙は、甲に、受領した約定報酬の全額を遅滞なく返還しなければなりません。

国土交通省が定める標準媒介契約約款

ローン特約による解除の時は仲介手数料をもらっていた場合は返還するように決めています。つまり住宅ローン特約による解除の時には仲介手数料をもらってはいけないという考え方に立っています。

さらには過去の判例でも

媒介契約が、代金についての融資の不成立を解除条件として締結された後、融資の不成立が確定し、これを理由として契約が解除された時には、買主は、媒介業者に対して、仲介手数料の支払義務がないと解するのが合理的であり・・・

東京地裁平成24年11月16日

とし、住宅ローン特約による解除の場合、仲介手数料を支払う必要はないとして、という考え方を示しています。

それでも住宅ローン特約による解除した契約について、仲介手数料を請求する不動産業者もいます。

前述したように判例でも仲介手数料の支払義務はないとしています。請求された場合は管轄の県庁宅建課や不動産協会などに相談に行きましょう。

仲介手数料以外でローン特約について注意すべき点

仲介手数料以外でローン特約について注意すべき点

仲介手数料の支払義務の有無以外にも住宅ローン特約には注意すべき点がいくつかあります。

契約書に「金融機関名」が書いているか確認すべき

契約書や重要事項説明書の住宅ローン特約の項目に、金融機関名が書いているかどうか確認する必要があります。例えば

「A銀行」と明記されている場合は、基本的にはA銀行でローンが通過しなければローン特約により解除可能と考えられています。つまり審査が通らなくて他の金融機関に審査をかけたりすることなく解除したければ解除できるということです。

逆に「A銀行等」「金融機関等」「市中銀行」などの記述であれば、他の銀行で通る可能性があるのであれば住宅ローン特約による解除はできないという契約であるとされます。

微妙にですが記述により取り扱いが変わることに注意しないといけません。

この銀行のこの金利のこの団信の住宅ローンでしか購入したくないというような時は金融機関を明記した内容にするべきということです。

契約書に「借入金額」が書いているか確認すべき

普通の契約書には住宅ローンの借入額などがかいてありますが、ごくまれに借入額が書いていない場合があります。

住宅ローンには、承認・否決のほかに、「減額」つまり希望額には届かない金額だが借入を認めるという結果があります。

契約書に住宅ローン特約についての借入額が記入されていないと、こういった減額の場合にも「承認」は出ていると扱われて、解除できないということになります。

住宅ローンの特約のところに必要資金・借入希望額が書いてあるか確認しましょう。

住宅ローンとは直接関係ないものは解除できない

当然かもしれませんが、

  • 期待していた親からの援助がでなくなった
  • 追加の費用が予想以上にかかることが分かった
  • 持ち家が高く売れなかった

などは住宅ローンとは直接関係がありませんので、住宅ローン特約による解除はできません。

同じ資金繰りのところですので、同じように考えて住宅ローン特約でペナルティなく解除できると勘違いされる方も多いですが、これは自己都合による解除として扱われ、手付金の没収や違約金の支払い、仲介業者には仲介手数料の支払を求められる事例です。

住宅ローン特約には期日がある

住宅ローン特約が使える期間は売買契約書によって定められてるので、その期間がいつなのかも注意が必要です。

住宅ローンの審査が難航し、長期の審査になって結局通らなかった、ローン特約の期日も過ぎていて、解除もできなくなっている、ということも起こりえます。

売買契約の時に住宅ローン特約の期日についても確認し、これからの日程でその期日までに「本審査通過」までクリアできるか確認しておく必要があります。

ローン審査が長引いてしまった場合は、仲介業者や売主と相談し期日を延長してもらいましょう。口頭での約束では危険なので「ローン特約の期日の延長の同意書」など書面にしてもらうのが大切です。

ローン特約による解除とは?仲介手数料の支払義務はありません。:まとめ

住宅ローン特約・融資特約とは、万が一住宅ローンが通らなかったときに解除できるようにする約束。

ローン特約による解除の場合は

  • 売主に対しては売買契約は解除、つまり支払った手付金なども返還
  • 仲介業者に対しては、仲介手数料を支払う必要もない

住宅ローン特約は「金融機関名」「借入額」「期日」など重要な記述が多いので契約の時には確認すべき項目です

買主の自己都合でキャンセルする場合は、違約金や仲介手数料の支払義務が出てくるので注意が必要です。

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