建売新築一戸建ての手付解除【手付金放棄でいい?違約金が発生する?】

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建売新築一戸建てを販売していると、時々あるのが「契約した後に自己都合で契約を解除したい」と申し出てくる人です。

おるすま内田
おるすま内田

手付解除っていつからいつまでできるのか、しっかりわかっておく必要がありますよね

おるすま澤田
おるすま澤田

解約することは無いと思うけど、知っておかないと万一の時に備えられないからな

こういった場合の取り扱いは一体どうなるのでしょうか?手付金放棄で解約できるのか、違約金が発生してくるのか、解説していきたいと思います。

建売新築一戸建ての手付解除【手付金放棄でいい?違約金が発生する?】

建売住宅の売買契約をしたけど、解除する場合の【手付解除?違約解除?】

建売新築一戸建てを契約後に自己都合で解約する場合、普通は手付金放棄です。ただ引渡の1週間前くらいになると違約金が発生してくる場合もあります。※仲介業者に仲介手数料の支払も必要になる場合が多いので、それも忘れてはいけません。

具体的にはどういうことかというと、売買契約の時に手付金といって物件代金の一部を先に支払います。建売では50万円~100万円の場合が多いです。自己都合で解約するとなるとこの手付金は返還してもらえないということです。

建売の場合、手付解除はどう決められている?

建売新築一戸建ての手付解除【手付金放棄でいい?違約金が発生する?】

実際にこのような条文の売買契約書が使われるのですが、第14条に「支払済みの手付金を放棄することで解除できる」と書いています。1行目には手付解除ができる条件について「履行に着手するまでは」という風に書いていて、手付解除ができなくなっている場合には第15条違約解除となり物件価格の10%の違約金がかかります

  • 履行の着手していない → 手付解除(手付金放棄)
  • 履行の着手している  → 違約解除(違約金発生)

建売新築一戸建ての場合は履行の着手するのはだいたい引渡しの前の1週間なんですが、その履行の着手とは何なのでしょうか。

建売新築購入時の「履行の着手」とは?

建売新築一戸建ての手付解除【手付金放棄でいい?違約金が発生する?】

建売新築一戸建て購入時の「履行の着手」とは一般的には「表示登記・表題登記の完了」という考え方が主流です。そしてこの表示登記・表題登記をするのが引渡しの1週間くらい前~引き渡しの前日くらいに完了されている場合が多いので、引渡しの1週間前くらいから手付解除はできず、違約金が発生する場合があるということです。

実際にあった争いについて見解を示した裁判所の判決(判例)によると、

新築建物を分譲して販売する不動産業者は、・・・買主の決定後に、買主名義で、建物表題登記をし、代金決済日に所有権保存登記をすることにより、売主(建築主)名義の建物表題登記及び所有権保存登記をした上で買主に所有権移転登記をする登記手続に代える慣習があること、同慣習に基づく登記手続においては、金融機関が住宅ローンの査定や担保権設定登記の準備のため建物表題登記のみを融資実行日よりも前に備えていることを求めることがあり、建物表題登記と所有権保存登記を同時に行うことができないため、売主は建物表題登記のみを代金決済日(融資実行日)よりも前に履行するのが通常であることは顕著な事実である。

東京地裁平成25年4月15日判決

とし、まあ要約すると「表示登記したらそれは履行の着手だよね」という考えを示し、表示登記がすでにされていた場合は手付解除はできないと判決をくだしました。

ほかの判例では、履行の着手とは

債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなしまたは履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした

最高裁昭和40年11 月24日判決

こととし、上記の履行の着手があったというには表示登記など「客観的に外部から認識できる」必要があるという見解を示しました。

つまり履行の着手というには表示登記のような外部から確認できるようなものじゃないとダメで

  • 私も既にいろいろ事務処理をしてますんで・・・
  • 司法書士ももう登記の準備をしてしまっているので・・・

という類のものでは「履行の着手」とはならずに、この状態なら手付解除ができると考えられています。

こういったことで履行の着手を主張し違約金を請求してくる不動産業者は解約させないように嘘の情報を言っている可能性が大です。要注意

大手建売メーカーの心理的要因で手付解除

飯田グループホールディングス各社など大手建売メーカーで建売を購入する売買契約をして解除する場合は、履行の着手という判断基準とともに、売り主の心理的要因によって「手付解除」により解除させてもらえるということもあります。

確かに違約解除にすれば売り主はより多くのお金を違約金としてもらうことができますが、それにより買い主ともめる可能性もでてきます。買い主ともめると解除手続きがなかなか進まないため、その物件を再度販売することができるようになるまで、時間がかかってしまいます。

建売新築一戸建てを販売する場合の制約として、「建築後1年を経過したものは『新築』の表示ができなくなる」というルールがあり、建売メーカー各社はこの期限までに販売することが一つのタイムリミットになっています。

そんななか解約問題でもめてしまうとその貴重な販売期間の一部を奪われてしまうことになるわけです。

そういった建売メーカーの心理的な要因で事を荒立てない「手付解除」でスムーズな解約手続き満了を目指すという場合も多いといえます。

大きな建売メーカーにとっては、違約金より物件の販売のほうが大切ということです。

建売新築一戸建ての手付解除【手付金放棄でいい?違約金が発生する?】:まとめ

建売新築一戸建ての自己都合での解約の場合は、引渡しの直前でない限りは手付解除となる場合が多い。判例では表題登記・表示登記が完了している場合は、違約解除となり違約金が発生してくると考えられている。

どちらにしろ仲介手数料の支払も全額ではないにしろ請求される可能性は高いので、負担になる総額で解約するかどうか検討する必要がある。

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