住宅と自動車、人生でどちらを先に買うでしょうか。だいたいの人は「自動車」だと思います。ということは多くの人は、マイカーローンを持った状態で住宅を探すということになります。
不動産営業をしていても、住宅を検討している方はマイカーローンを持っている方がほとんどです。
車を買った直後に家を買いに来る人がいますけど、ちょっと順番を考えてほしいですね
住宅ローンの選択肢に限りが出てしまうので、最悪それで通らないケースも出てくるからな
今回はそんなマイカーローンと住宅ローンの関係、マイカーローンを持っていると住宅ローンの審査に影響するのかについて解説したいと思います。
既に自動車ローンを持っていると住宅ローン審査に影響は?
結論から言うと、審査の合否には影響はありませんが、借入額には大きく影響します。
自動車ローンを借りていること自体は先ほど書いたように普通のことなので金融機関もその借入を持っていること自体で審査を通さないことはありません。逆に消費者金融系の借入があれば、借り入れを持っていること自体で不利な扱いを受けることもあります。
審査の合否には影響はありませんが、借入額には大きな影響があります。金融機関は住宅ローンの支払いが可能かどうかを審査するわけですが、マイカーローンのある人は「住宅ローンと既存のマイカーローンの支払い」が可能か審査されることになるからです。
マイカーローンを持っているとどれだけ借入額が下がるか
では自動車ローンを持っていると、借入額がどれくらい下がるのでしょうか。具体例を出して考えてみます。
住宅ローン借り入れ期間35年・審査するとき用の金利2.675%・返済比率30%として、400万円の年収の人がマイカーローン(月々1.5万円の支払い)ありとなしでいくら借り入れできるのかを計算してみると、
年収400万円(車ローン無し) → 2720万円借入可能
年収400万円(車ローン月々1.5万円有り) → 2310万円借入可能
となります。借入額は410万円も差があり大きな影響があります。
住宅ローン借入時に自動車ローンを完済?
このように住宅ローンの借入額は自動車ローンの支払いの有無で大きく変わってきます。
自分の希望しているレベルの物件を購入するためには、今持っている車のローンを完済しないといけないのかという部分は、年収や車のローンの額や購入予定の物件によって違います。
前述したような車のローンを持っている場合の借入可能額の範囲内であれば、車のローンを完済する必要は全くありません。
自己資金を車のローン完済に使う?
マイホーム購入のために自己資金を貯めている場合には、それをそのままマイホーム購入のために使うか、車のローンの完済に使うか迷う場合もあります。
例えばマイホーム購入のために200万円の貯金をしていても、車のローンが200万円ある場合は、住宅ローンの方でフルローンをして車のローンを完済したほうが、住宅ローンの借入可能額も上がりますし、支払いもはるかに楽になります。
しかし詳細は「自動車ローンを住宅ローンにまとめると得なのか」というところで解説しますが、借入期間が長くなっていることによる支払利息の増加というデメリットもあります。
最低でも車のローンの月々支払額は把握しておいてください
そんなこと言われても、どうすればいいかわからないという方は、我々不動産営業マンに聞いてください。その場で計算してベストな方法を提案させていただきます。
しかし不動産営業をしていると、車のローンの支払額をあまり把握していない人が結構多いということを感じます。
「3万円くらい」と言っていて、5万円だったり、もう完済済みで支払いがなかったりということもまあまあ多いです。数千円単位の誤差はそれほど変わりませんが、一万円の誤差は結構借入額の計算に影響してきます。
住宅ローンの相談に行くときにはできれば車のローンの明細書を持ってきてもらえると正確な計算ができるのでありがたいですが、最低でも先月の通帳やクレジットカードの明細などを見て自動車ローンがいくら引き落とされたのか確認しておいてほしいです。
住宅ローンが先、自動車ローンが後がベスト
このように住宅ローンの審査でいうと自動車ローンがない方が借入額が多くなり希望の物件を購入できる可能性も高くなります。ですので、車も古くなってきたし、マイホームの購入もしたいと思っている方は、「住宅購入が先、自動車の購入は後」がベストです。
自動車ローンを組む時に住宅ローンを持っていることが影響しないのかというと、借入額にも合否、借入額にも全然影響しません。車のローンは住宅ローンに比べて借入額も少ないですし期間も短いので審査も緩く、住宅ローンの支払いについては何も影響がないのです。
最近ではこの優先順位も理解されている方もいて、接客しているときに車のローンなどありますか?と聞くと「ありません!!」と言ってくださる方もちらほらいます。ありがたいことです。
自動車ローンを住宅ローンに組み込む・まとめる
自動車ローンを持っているので借入額が伸びない、でも自動車ローンを完済する貯金もないし、でもやっぱり家も欲しいという方は最終的には
「自動車ローンを住宅ローンに組み込めないでしょうか?」
ということになってきます。
昔は合法的には無理だったんですが、最近は「マイカーローンも一本化して住宅ローンを組めます」という金融機関も存在します。
不動産業者が「マイカーローンも住宅ローンに組み込みましょう」と言ってきた場合は、物件価格や諸費用・追加工事費のどこかを水増しして(銀行に嘘をついて)組み込む場合と、銀行のマイカーローンを一本化する商品で組み込むのかどちらかです。
前者の場合、水増ししていることがバレるかバレないかでいうと、バレない可能性のほうが高いですが、バレた場合は住宅ローンの一括返済を求められることもあります。
自動車ローンを住宅ローンに組み込むと得なのか
実際にお客様と話していたり、ネットを見ていると、マイカーローンを住宅ローンに組み込みたい人が多いと感じます。ですがこれは本当に得なのでしょうか。
先ほどの例であるように、車のローンがあり完済もできないが借入額を伸ばしたいという場合もありますし、車のローンは金利2%~4%、それに対して住宅ローンは0.5%~1.5%。多くの方が住宅ローンは1%以下の金利で借り入れをするので金利で言っても組み込みたいのはわかります。
しかしそんな方に考えていただきたいのは返済期間です。住宅ローンは35年です。車のローンは5年くらいで組んでいる方が多いのではないでしょうか。例えば300万円の車を
自動車ローン(金利2%・期間5年) → 利息合計154,968円
住宅ローン組込(金利0.775%・期間35年) → 利息合計426,012円
となり借入期間が長いので利息の合計額はかなり高くなります。さらにそもそも35年間車を乗り換えない人もいないと思うので使用期間よりはるかに長いローンになっていることも注意が必要です。
これでも35年間も借りられて42万円しか利息を払わなくてもいいなんて素晴らしい、と思う人もいると思いますが、借入期間や利息のことを考えると一概に得とは言えない方法だということがわかります。
住宅ローンとマイカーローン・既に自動車ローンを持っていると住宅ローン審査に影響は?:まとめ
マイカーローンを持っていると住宅ローンの審査の合否には関係ないが、借入額に大きく影響する。
車と住宅どちらを購入するのが先か悩んでいる場合は住宅が先。
自動車ローンを住宅ローンに組み込むことができる金融機関もある。そうでない場合は違法な手段の場合もあるし、長期の住宅ローンに組み込むと利息合計は上がる可能性が高いのでそちらも注意が必要。
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