最近では長期優良住宅の建売新築一戸建てというものも出てきました。
名前からして良さそうだけど、この長期優良住宅って何?認定されていれば安心なの?
長期優良住宅認定の建売なんて昔は無かったですよね
どんどん進化して上には上が出てくるし、お客さんが求めるものも多種多様化してきたな
今回はそんな長期優良住宅と建売新築一戸建てについて解説していきたいと思います。
建売新築でも長期優良住宅に認定されていれば安心して購入できる?
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅のこと で認定基準を満たした住宅を建て所管行政庁に申請することで認定されます。
建売メーカーでは飯田グループホールディングスの東栄住宅などは積極的に認定を受けています。
認定されていれば一定程度安心できるが、認定の有無がその住宅の性能の強弱を示しているわけでは必ずしもありません。認定には申請費用がかかるので、基準は満たしているが認定を受けない建売メーカーも多いです。
長期優良住宅とは?認定基準
まず長期優良住宅の認定基準は、
- 劣化対策
- 耐震性
- 維持管理更新の容易性
- 可変性
- バリアフリー性
- 省エネルギー性
- 居住環境
- 住戸面積
- 維持保全計画
の9つで、これらをクリアすれば長期優良住宅に認定されます。その多くが住宅性能表示制度の等級で判断されています。
1.劣化対策
劣化対策等級(構造躯体等)3取得かつ構造の種類に応じた基準、木造の場合は床下空間の有効高さ確保及び床下・小屋裏の点検口設置などが求められます。具体的には床下の高さを330mm以上にします。点検口はだいたいの住宅についています。
2.耐震性
耐震等級2以上です。最近では耐震等級3取得の家も増えてきましたが、長期優良住宅の認定基準としては2でもいいということになっています。
3.維持管理・更新の容易性
維持管理対策等級(専用配管)3取得です。配管の清掃や補修のしやすさを判断するもので、配管が躯体に埋め込まれていないか等をみて等級が決められます。
4.可変性
躯体天井高さ 2,650mm 以上ですが、マンションなどの場合で 一戸建てについては特に求められていません。
5.バリアフリー性
こちらもマンションなどの場合のもので、高齢者等配慮対策等級(共用部分)等級3取得が求めらています。
6.省エネルギー性
断熱等性能等級4取得が求められます。グラスウール断熱材の仕様など、地域によって基準が異なります。
7.居住環境
これも市町村によって異なるもので、地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容に適合しているかが判定されます。
8.住戸面積
一戸建ての場合は、建物面積75㎡以上、一つの階の床面積が40㎡以上と定められています。
9.維持保全計画
柱や梁・屋上の防水や給排水設備の点検補修等による維持保全計画を策定しておかないといけません。
建売で長期優良住宅認定にはいくらかかっている?
当然ですが、長期優良住宅は認定してもらう場合申請費用がかかります。注文住宅などの場合で長期優良住宅取得費用は30万円くらい請求されることも多いかもしれません。
ただ実際にそれだけかかっているかというと、少し疑問で申請費用だけで見ると申請費用は5万円~6万円くらいの場合が多いです。メーカーにとっては審査を通す図面や資料を作らないといけないのでそれなりにお客さんからお金をもらわないとやっていけないというわけです。
建売住宅の場合で申請費用の5~6万円だけと考えたとしても、たった5万円ならと思うかもしれませんが、建売のメーカーにとれば100棟建築すれば500万円かかるというわけで、コストダウンのために性能的に見れば十分長期優良住宅の認定は受けられるが、受けないという物件も多いです。
住宅の性能を上げたりすることには積極的ですが、長期優良住宅に「認定されること」自体にはそれほど重きを置いていないメーカーもいます。
住宅性能表示制度は利用している建売も多くなってきたの、長期優良住宅の認定を受けていなくても、評価書の等級をみて比較すると、建売住宅の性能の比較になると思います。
アイディホームHPより
こんな感じで住宅性能表示の一部をHP上で公表しているところも多いです。
長期優良住宅に認定されていない建売を検証してみた
建売住宅の中でも長期優良住宅に認定されていない物件はたくさんあります。ですが、長期優良住宅に認定してもらっていないだけで、住宅性能評価書を見てみるとそれと同等の性能を有しているということがわかる物件もたくさんあります。
例えば住宅性能評価書付きで長期優良住宅の認定を受けていない物件を販売している一建設さんのある物件を検証してみます。
これは一建設さんの「リーブルガーデンシリーズ」の建築住宅性能評価書ですが、長期優良住宅の認定基準の項目だけ抜き出してみると
●劣化対策等級3取得・維持管理対策等級3取得
●耐震等級3取得
●断熱等性能等級4取得
住宅性能表示を見てみると長期優良住宅の認定に必要な項目での等級は取得できています。そのほかの要件もクリアしているので、一建設の建売物件では「長期優良住宅の認定を受けていないだけで、長期優良住宅『相当』の性能の住宅」ということができます。
このような感じで気に入った物件が長期優良住宅ではないから不安になるのではなく、よくよく調べてみると認定制度を利用していないだけということも多いので、こういったことも検討してみましょう。
長期優良住宅に認定の有無=住宅の性能の強弱ではない
一建設さんの物件を使った検証の通り、長期優良住宅に認定されていないので、心配ということも言えませんし、認定されているから安心ともいえません。ものすごく長期的に見て安心な住宅を販売しているが、長期優良住宅の認定は受けないという場合もあります。
さらには何を住宅に求めるかによっても変わってきます。
たとえば耐震等級を重視する人にとっては、長期優良住宅に認定されていると「長期優良住宅だから耐震性もしっかりしているんだろう」と考えるかもしれませんが、
- 長期優良住宅を耐震等級のところは2でクリアし認定を受けた住宅
- 長期優良住宅の認定を受けられないが耐震等級は3取得の住宅
では、認定を受けていない後者の住宅のほうが耐震等級は上です。
自分が住宅に何を求めているかによって、安心できるかどうかは変わってくるので、長期優良住宅だから安心ということはありません。
長期優良住宅であれば受けられる優遇
しかしそうは言っても長期優良住宅を購入すると税制上の優遇が受けられます。
まず住宅購入時の登記費用の中の登録免許税というものが安くなります。
住宅の種類 | 税率 |
---|---|
一般住宅 | 保存登記 0.15% 移転登記 一戸建て 0.3% マンション 0.3% |
長期優良住宅 | 保存登記 0.1% 移転登記 一戸建て 0.2% マンション 0.1% |
つぎに新築の場合、購入当初の固定資産税の税額が半分になる減税が受けられるのですがその期間も長くなります。
住宅の種類 | 減税措置の適用期間 |
---|---|
一般住宅 | 一戸建て 1~3年間 マンション 1~5年間 |
長期優良住宅 | 一戸建て 1~5年間 マンション 1~7年間 |
最後に住宅ローン控除の限度額が引き上げられます。これは上限の引き上げなので借入額が少ないなどで関係ない方も多いかもしれませんが・・・
住宅の種類 | 控除対象になる限度額 | 10年間で控除される所得税と住民税の合計最大額 |
---|---|---|
一般住宅 | 4000万円 | 400万円 |
長期優良住宅 | 5000万円 | 500万円 |
建売新築でも長期優良住宅に認定されていれば安心して購入できる?:まとめ
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅のこと。さまざまな基準を満たして認定を受ける。
認定されているから安心ということは言えないが、一定程度は安心。
自分が住宅に何を求めているかということも考えるべき。