不動産の購入を検討している方の中で「住宅ローン代行手数料」という言葉を聞いたことはないでしょうか?
仲介手数料とは別の費用?銀行に支払うローン事務費用とは別?
我々おるすま住宅ローン代行費用の反対運動をしています(笑)
なんぼ言うても取る会社はなくならんけどな
ここでは結構多くの不動産屋が「ぼったくり的」に請求してくる不動産購入における「住宅ローン代行手数料」について解説していきたいと思います。
住宅ローン代行手数料とは?支払う必要があるか・仲介手数料とは別?
結論から言うと、もし不動産を購入するときの諸費用明細に「住宅ローン代行手数料」という名目の費用が書いてあれば、その不動産業者には少し気を付けたほうが良いでしょう。
この住宅ローン代行手数料は仲介手数料とは全く別のもので、支払う必要はないのに支払わされている場合が多いです。相場はだいたい10万円ほど。
住宅ローンを借りる金融機関に払う住宅ローンの保証料や事務手数料とは違い不動産業者に支払う「ローン手数料」は限りなくグレーな費用請求です。
この住宅ローン代行手数料をもらうための営業トークや、書面による同意がなければ拒否できるという法律的な位置づけについても解説していきます。
そもそも住宅ローン代行手数料とは?
「住宅ローン代行手数料」とは、その名の通り住宅ローンの手続きを代わりにやってくれる分の手数料のことです。
不動産の購入を現金で支払いができればそれにこしたことはありませんが、多くの方は金融機関などから住宅ローンの融資を受けると思います。そして多くの場合は不動産業者が金融機関と提携し、住宅ローンの審査などの手続きをしてくれる場合も多いでしょう。
住宅ローンの場合、銀行など金融機関も「融資事務手数料」をとります。
これとも別です。住宅ローン代行手数料は金融機関ではなく不動産業者に支払うものです。
つまり金融機関に支払うものではなく、不動産業者に支払うもので、仲介手数料とは別に支払う、ローンに関する手続きを代わりにやってもらうための手数料が「住宅ローン代行手数料」です。
住宅ローン代行手数料は払わなくてもいい?
それでは住宅ローン代行手数料は払わないといけないのでしょうか。払わなくてもいいのでしょうか。
住宅ローン代行手数料は払わなくてもいい
住宅ローン代行手数料は基本的には支払う必要はありません。
ただ住宅ローン代行手数料を支払うことに関して双方が合意している場合は支払ってもいいでしょう。つまり買主が「払ってもいい」と言っている分には払っても大丈夫なんじゃないかと考えられているということです。
例えば、かなり住宅ローンの審査を通すのが難しい事情があり、長期間にわたり何度も書類を集めたり提出したりをしてくれた不動産業者に「住宅ローン代行手数料」をいただきたいと申し出があり、それをお客さんも認めた場合は何の問題もありません。
ですが実際はこの住宅ローン代行手数料は「支払うのが普通ですよ」という感じでシレっと請求する場合も多いですし、金融機関に支払う「ローン事務費用」と混同させることによってカモフラージュするという技もよく見られます。
このようなお客さんの明確な同意もなく請求するという状態が一般化しています。住宅ローン代行手数料の支払いを求めらたり、諸費用明細にこの名目があった場合は詳しい説明を求めたほうが良いでしょう。
このような仲介手数料とは別の費用を請求したり、仲介手数料の上限額以上を請求されたトラブルに関してはこちらの記事をご覧ください。
住宅ローン代行費用の法律上の位置づけは?
不動産の買主が支払うことについて納得していれば問題ない、というような状態というのは、なかなか「あやふや」な状態ですが、これは住宅ローン代行費用の法律上の位置づけがいまいち決まっていないということに原因があります。
ですが、「ローン代行費用を払わなくてもいい」、「請求してもいけない」という法的な理由になっているの、宅建業法に定められた仲介手数料の上限額という規定に違反していると考え、いわゆる「超過報酬」に当たるということになります。
報酬(仲介手数料)には上限がある
不動産の仲介手数料にはもらっていい上限額というのが宅建業法で決められています。
具体的には、物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税です。
不動産業者が仲介した時にもらえる手数料というのはこのように上限が決められていることになります。
この上限規定とよばれるものが「ローン代行費用を支払う必要がない」理由に挙げられます。
つまり仲介手数料を規定の額もらって、さらにローン代行費用をもらうと、ローン代行費用の分だけ法律でもらっていい額を超えているので違法であるという考え方です。
住宅ローン代行費用をとってはいけない理由
住宅ローン代行手数料を不動産業者が請求してはいけない理由でよく挙げられるのが、宅建業法の仲介手数料の上限額を定めた規定や、それについての見解を国土交通省が示した包括的なガイドライン「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の内容です。
このガイドラインには、
「宅地建物取引業の解釈・運用の考え方」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001359696.pdf
という内容が書いてあります。不動産の報酬については決められた上限金額があり、報酬を上限金額しかもらってはいけないという考え方を示しています。
例えば、ローン代行費用を請求する場合は、当然仲介手数料も請求されることになると思いますが、仲介手数料で宅建業法で決められた上限額を受け取ると、プラスでローン代行費用を受け取ると、宅建業法や国土交通省のガイドラインに違反する「超過報酬」になってしまうという考え方です。
明確にすればローン代行費用をとってもいい理由
しかし現状でいうと、ローン代行手数料は「買主の合意があれば問題ない」んじゃない?というようなあやふやな感じで運用され、取引のたびにお客さんに請求する不動産業者はなくなっていません。
それは上記の同じガイドラインに
「宅地建物取引業の解釈・運用の考え方」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001359696.pdf
媒介業務にかかわる別の業務にかかわる報酬は受けてもいい。ただし料金設定や報酬額の明確化を図りなさい。ということが書かれています。
明確にしていたら、仲介手数料以外にもお金をもらっていいとも取れる内容ではあります。こういった部分がローン代行費用をとってもいいという不動産業者の論拠になっているケースがあります。
その他、住宅ローン代行費用についての考え方
また宅建業法では
「 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置」について、仲介業者は交付する重要事項説明書に明記しなければならない」
宅建業法35条(重要事項説明)1項12号
と書かれており、まあ簡単に言うと「住宅ローンで買う場合はその「内容」を重要事項説明書に書いとかないとダメだよ」という風に決めています。
この「内容」っていうのに「住宅ローン代行手数料がかかるかどうか」ということも含まれるんじゃない?と考えて、重要事項説明書に記載がなければ住宅ローン代行手数料は請求できないと考えるべき!という考え方をとる人もいます。
結論どうなの?ローン代行費用
なんともあやふやなことですが、結論どうなのかというと、「あんまりはっきり決まってないから、買主側つまりローン代行費用を払う側が同意していたらそれはイイ」、という感じで運用されています。
しかし私は個人的には、現状のようなほぼ不動産の取引の中の1つの作業でしかない「ローンの手続き代行」で仲介手数料とは別の手数料を取るのは良くないことだと考えています。
国土交通省のガイドラインも、ケースバイケースで不動産屋の不動産取引の仲介とはかなり逸脱したお手伝いをするケースもあり、そういった場合に別の報酬をもらうことを認めているに過ぎないと考えたほうが自然だと思います。
住宅ローン代行手数料の相場っていくら?
住宅ローン代行手数料の相場は「10万円+消費税」です。基本的には払う必要のないものに相場があるのはなにか不思議ですが・・・。
体感では住宅ローン代行手数料を請求している業者の7割くらいは「10万円+消費税」かなとおもいます。
住宅ローン代行手数料には上限がない
住宅ローン代行手数料には上限がありません。ですので言い値で設定することができます。
言い値で不動産業者が言って、それをお客さんが了承すればその値段が住宅ローン代行手数料の金額になります。
「80万円取ろうとしてお客さんに文句言われてさー」という剛腕不動産営業マンの話も聞いたことがあります。
住宅ローンの代行とはどんなサービス?
それでは住宅ローン代行手数料を払ったらどんな「代行」をしてくれるのかというと、金融機関に出す書類をまとめて金融機関に出してくれるというものです。
まあ何もしていないのと同じですし、仲介手数料の支払に含まれる「仲介業務」の範囲内であって、住宅ローンを代行しても手数料をもらうことはできないという考え方もあります。
とにかく10万円も払うくらいの仕事は特にないという場合がほとんどです。
住宅ローン代行手数料をもらうためのトーク術
住宅ローン代行手数料を納得させたいときに不動産営業マンはあの手この手のトーク術を駆使します。
住宅ローン代行手数料の説明をしない
一番多い作戦はこの住宅ローン代行手数料についての説明を避けるという方法かもしれません。
不動産を購入する場合には、仲介手数料や登記費用や銀行の事務費用や火災保険料など様々な費用があります。
支払の段階でも何にいくら支払ったのかわからずに終わる方も多いので、説明を避け続けて知らないうちに支払わせるというパターンもかなり多いと思います。
〇〇銀行と提携して特別金利で組める
「●●銀行と提携しているので、審査や金利で有利になります」という営業トークもよく聞きます。
これもほぼ嘘と言っていいかもしれません。
銀行は「この人にお金を貸して大丈夫かな??」ということを考えて審査をします。
「この不動産会社からの紹介なので間違いないだろう」ってことで審査してたら、逆にその銀行のことが心配です。
建売新築一戸建ての販売で言うと、某フランチャイズ系の不動産仲介業者が力を入れて販売している光景をよく見ます。そういったところは実際は我々と同じ中小企業ですが(嫉妬)、フランチャイズの力を利用した提携住宅ローンというものがあります。
仲介手数料無料の業者のHPではこういった部分を説明せずに自社に不利な情報を公開していないケースもありますので注意が必要です。
名を変える・住宅ローン代行手数料
住宅ローン代行手数料はさまざまに名を変えて登場します。なんといっても気づかれないように他の費用と紛れ込ませて請求しないといけないので・・・例えば
- 住宅ローン斡旋手数料
- 住宅ローン事務手数料
- 融資斡旋手数料
- 融資事務手数料
などなど。名称が違ってもすべて同じものなので気を付けましょう。
住宅ローン代行手数料は「書面の同意が必要」
住宅ローン代行手数料に関しては、法律上の考え方を説明した通り基本的には双方が合意しているかどうかというところに焦点が当たる可能性が高いです。
そうなると買い主側が住宅ローン代行手数料を支払うことを認めていた、というような書類があるのかないのかというところが大切になってきます。
同意した書面がなければ住宅ローン代行費用は払わなくていい
住宅ローン代行手数料はあくまで双方の同意が必要です。つまり
「住宅ローン代行手数料を10万円支払ってくださいね」→「わかりました」というやり取りが必ず必要ということです。ですが言った言わないということになってはいけないので、そういう同意があったという「書面」が必要になるということになります。
そもそも民法で考えると「払ってほしい」と言っているほうに、「払うことに同意していたんです」ということを証明する責任があるので、そういった書面がなければ「払わなくていい」という結論になります。
支払ってしまった後も返還請求できる
ローン代行手数料を支払ってしまった後に返してほしい場合も主な争点は、当事者の同意を証明できるかどうかにかかってくると思います。
同意書面などがあれば現状は返金してもらうのは難しいのではないかと考えられています。
住宅ローン代行手数料を節約する方法
住宅ローン代行手数料を節約する方法はいくつかあります。
不動産業者の紹介の住宅ローンを申し込まない
不動産業者の紹介の金融機関を使うから住宅ローン代行手数料がかかるだけで、自分で金融機関の窓口に行って住宅ローンの申請をすれば問題ありません。
もし自分が住宅ローンの通りにくい状況ならば、多くの金融機関の住宅ローン審査に精通している不動産業者に頼らないといけないかもしれませんが、そうでもないなら審査してほしい金融機関に自分で申し込みに行くのも一つの手です。
住宅ローン代行手数料を請求する不動産業者を使わない
住宅ローン代行手数料が必要な不動産業者を使わないという方法もあります。
不動産仲介業者はたくさんあると思うので、思い切って他の業者に依頼してもいいかもしれません。
その仲介業者からしか購入できない場合は、住宅ローン代行手数料について説明をもとめ、納得がいかなければ抗議するなどして交渉してみましょう。
最初に住宅ローン代行手数料がいるか聞く
一番最初に住宅ローン代行手数料が必要か聞くのがわかりやすくていい方法です。
事前審査など住宅ローンの審査をするように勧めてきた段階で確認すれば後のトラブルはありません。
住宅ローン代行手数料とは?支払う必要があるか・仲介手数料とは別? :まとめ
住宅ローン代行手数料は仲介手数料とは別です。金融機関の融資事務手数料とも別です。
一般的にはローン代行費用は、宅建業法に規定する仲介手数料の上限額を超える「超過報酬」に当たるので違法と考えられています。
基本的には払う必要のないもので、相場10万円ほどで請求してきます。
お客さんが支払いに同意をしている場合は違法ではないという考え方もあるので、書類での同意がなければ拒否することができます。住宅ローン代行手数料を支払いたくない場合はしっかりと請求の有無を事前に確認しておくべきです。
結論:通常は住宅ローン代行費用払ったらダメですよ!